企業の成功法則 社長力・管理力・現場力 三位一体論

学んで、自己を成長させて「意味ある生き方」を!

何事も積み重ねが大切です。ノーベル化学賞を受賞した吉野彰さんは、世界初のリチウムイオン電池を開発しました。非常に危険で可能性がある者を、必死に実用化されたのです。現場力とはあきらめない粘り強さです。

粘り強さがなければ永続できない

 人類の長い歴史を見ると、一つの志を貫くには相当の時間がかかり、途中であきらめていないことがわかります。現場力は、あきらめない気持ちの強弱で決まります。あきらめない気持ちの強い人たちが歴史をつくり、いろいろな科学的発展に寄与したのです。
 企業経営でも、中小企業が受難の時代を迎えていますが、だからこそ「大きな機会」があるのです。中小企業の現場は、与えられた自分の持ち場だけの仕事をこなしていれば、「それでよし」と考える傾向が強いのです。もちろん、当然のことですが、視野が狭くなるという問題も生じる場合があります。この点を理解して自分を第三者的に見つめることが大事です。
 こうした点の神髄を語っているのが吉野彰さんです。例えば、記者から質問を受け、現場での研究の在り方について明確に答えています。「現場で研究する者は基本的に、一つは、頭が柔らかくないといけないということ、柔軟性です」。つまり、視野が広くなると、考え方が大きくなるのです。でも、視野の広さだけでは物事は成り立ちません。顕微鏡のごとく、どんな微細なことでも見逃さない集中力も柔軟性に入ります。
 これらは現場だけの問題ではありません。社長力・管理力にも言えることです。だからこそ、現場にしかわからないことを社長や幹部に提案することも、現場力の範疇に入るのです。

「石の上にも三年」を一年で習得する努力

  吉野さんは柔軟性と同時に、矛盾しているようですが、執着心の必要性を説いています。つまり「しつこく、最後まであきらめない」精神力です。この二つが必要だと強調しながら、「一番難しいのは、その剛と柔をどうバランスよく持てるか」だと・・・。
 「固いばっかりですと『めげちゃい』ますし、柔らかいばっかりだと何も前へ進みません。大きな壁にぶち当たったときも、まあ、なんとかなるという柔らかさが、絶対要るのではないかと思います」。現場を知っている人の体験的実践知です。
 また、「『石の上にも三年』という。しかし三年を一年で修得する努力を怠ってはならない」とは、松下幸之助翁の言葉です。すべては自分も全力を尽くしているが、まだ多くの方法があるという気持ちが人間を進歩させるのです。さすがに、“経営の神様”といわゆる所以です。堕落からは何も生まれてきません。自己を真に修めることが、仕事の在り方や自分の生き方にも通じるものです。
 現在、「生産性」という言葉がキーワードになっていますが、中小企業にとって、今こそチャンスなのです。日本は世界と比較して生産性が低い、という課題があります。原因は安易な「働き方改革」です。物事を成し遂げるには、あるいは仕事の習熟度を上げるには、ある一定の質量が不可欠です。
今回の「働き方改革」の最大の問題は同一労働同一賃金など、人間や仕事の質を疎かにする政策にある、と思っています。

本記事は、月刊『理念と経営』2020年2月号「企業の成功法則 社長力・管理力・現場力 三位一体論」から抜粋したものです。

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