企業の成功法則 社長力・管理力・現場力 三位一体論

どう生きていきたいのか自分に問うてください

人生の課題に直面したとき、それを克服して生きていく決意が大事です。言い訳や口実をつけて気楽な方へ逃げるのではなく、自分らしさを高めることが大事です。チコちゃんは、「気楽に生きようとすんじゃねーよ!」と言っています。

与えられて生きた人と自分でつくり出した人

日本は豊かな国になりました。欲しいものは何でも手に入れることができます。特に親が子どもに何でも与えるため、子どもは何でもいつでも手に入れることが当たり前になっています。
 貧しいよりはいいのかもしれませんが、その分、何かを失っていることに気づかなければなりません。例えば、闘争心、チャレンジ精神、ゼロからつくり出す力が弱まっていることなどです。もちろん、本誌を愛読されている方は別ですが、NHKの『チコちゃんに叱られる!』という番組を見ていると、「ボーっとして生きてんじゃねーよ!」と叱れらる人増えているような気がします。
 “経営の神様”といわれる松下幸之助翁は、お金がなく、小学校四年中退で学歴もありませんでした。家族は小さな頃から次々に病に倒れ、兄弟、両親すべてを亡くし、二〇歳を過ぎた頃は天涯孤独でした。若い頃に何もかも失ったのです。
 しかし、世の中は不思議なもので、失うものが多かった分、考え方に深みが生まれ、ハーバード大学で「松下幸之助記念講座」が開設されるほど、偉大な経営者になりました。もちろん断定しているわけではありませんが、多くの偉人といわれる人の幼少時代は恵まれていません。自らがつくり出していかなければいけない不遇な生い立ちをしています。
 逆もまた真なりです。得るものがあれば失うものもあるのです。安楽を手にした後は不思議に意外な苦労を体験する人が多い。アメリカのプロスポーツ選手の中には、名声と数億の年収を得ていながら、晩年は借金まみれで苦しんで亡くなる人もいます。
 現場力とは、自分の天与の才能をどんどん発揮する力のことです。五歳のチコちゃんに、「甘ったれて生きるんじゃねーよ!」と叱られないよう、お互いに努力していきたいものです。

なぜ「変わりたい」のに「変われない」のか

社長力とは、外部環境を読み取り、柔軟に対応する力のことです。それを明確な経営方針にして、向かうべき行き先を決める力なのです。管理力とは、その経営方針を具体化して、お客様の求めるものを調査分析し形にする力であり、自社の経営資源である人材の能力を引き出すことが、管理力の最大の課題なのです。
 そして、現場力とは、自分自身のスキルや能力を発揮して、幹部にアイデアを提案し、物を作り、技術を生み出して、商品にし、サービスに変え、それを顧客に販売する力のことです。直接的に売り上げや利益をつくり出せるかどうかは、現場力次第なのです。
 アメリカのある大学教授は、利益の八割は現場がつくっていると断言しています。現場力は企業の宝であり、最高の財産です。ところが不思議なことに、利益を生み出している「現場」に、業績の悪い企業ほど投資をあまりしません。
 理由の一つは、教育投資をするゆとりがないことですが、ブライダル事業のアイ・ケイ・ケイ㈱、樹脂加工の㈱ミヤザキ、クレーンゲーム世界一の㈱東洋、物流業の関根エンタープライズグループ、総菜で有名な㈱クック・チャム、自動車教習所の㈱武蔵境自動車教習所、鹿児島の今別府産業㈱、パンの㈱ピーターパンなど、業績をきちんと残している企業は、一つの経営哲学として現場力強化のために投資をしています。
 もう一つの理由は、現場の方々の勉強嫌いです。しかし、本当は勉強が嫌いなのではなく、「変わりたい」「成長したい」という思いはもっているのに、「変われない」「変わりたくない」という気持ちを同時に持ち合わせているのです。真にどうなりたいか、生きていきたいか、を自分に問うてください。

本記事は、月刊『理念と経営』2019年11月号「企業の成功法則 社長力・管理力・現場力 三位一体論」から抜粋したものです。

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