企業の成功法則 社長力・管理力・現場力 三位一体論

日本を大きく発展させた「昭和の教育」を取り戻せ

新しい時代に日本人がすべきことは何か、と問われれば、第一はかつて日本に存在した日本人の「強み」の復活です。当然、技術革新も急ぐべきです。なぜ世界に遅れているのか。それは日本人の根底にあった独自の強みを捨てているからなのです。

日本の強みは現場力で夢見る力がたくさんあった

私が青年会議所時代に、何度もお世話になった堺屋太一先生が亡くなりました。3年ほど前に偶然、新幹線で前後の席になり、ご挨拶をしましたが、日本が衰えていく光景を強く憂いて、次のように述べられました。「日本衰退のもとは個々の組織の衰えである。経済であれ、社会や文化であれ、『全日本』はこの国の個々の組織と個人の総和である」政治家も経済人も国民も、自分の任務を自覚し個人としての使命を果たしてこそ、「組織と個人」は栄え、発展するというわけです。

元号が新しくなり、未来に向かって現場の皆さんはどのようにお感じになっていますか。私の個人的な主観を述べますと、AIやIoTなど、IT武装は急ぎながら、世界にないものをどんどん提案し、考えていただきたいのです。

日本の強みは現場力でした。新しい技術や製品、ビジネスを世界に先駆けて生み出し、夢見る力がたくさんありました。今後、われわれは一層の夢を持ち、その夢を形にしていく創造性が必要になります。苦難の末に話題の企業になったJR九州の唐池恒二会長は、「本気になって何が悪い」と述べています。本気でやれば、何事も楽しくなるのです。

AIの研究をされ、現在シリコンバレーで活躍中の井坂暁博士が来日されました。そのとき人間の脳の神経細胞であるニューロンが、どのようにネットワークされていくのか、が話題になりました。神経細胞同士は、われわれが本気にならないかぎり「発火」しない、というのです。

ウォークマンにヒントを得たスティーブ・ジョブズ

グーグルやアマゾンなどが世界を根底から変えています。既存のビジネスモデルがどんどん破壊され、日本が積み上げてきた技術は、新興勢力の新技術の部品の一つとしてしか評価されていません。

平成時代の日本はノーベル賞受賞者を多く輩出し、国民全員がわがことのように喜びました。しかし、そうした研究成果は昭和時代の汗の結晶であり、まさに、唐池会長が言われるように「本気」になって取り組んだ結果です。

なぜ、日本は堺屋太一先生が言われるように、「欲ない・夢ない・やる気ない」国になったのか、良い意味で志高い人たちへの支援体制がまったく論議されていません。日本を支えてきたのは有能な現場力だったはずです。

本記事は、月刊『理念と経営』2019年5月号「企業の成功法則 社長力・管理力・現場力 三位一体論」から抜粋したものです。

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