企業の成功法則 社長力・管理力・現場力 三位一体論

社長や幹部の人柄にほれ込んでこそ、“深谿に赴く”気持ちになる

現場とのコミュニケーションのギャップや、社長力・管理力・現場力が三位一体にならなければ、お互いが不幸になります。現場力の精神的自立を高め、リーダーシップ、コミュニケーション、GRIT(やり抜く力)、成果をつくる力を発揮しましょう。

数年後には、働く企業が減少し、ホームレスが多くなる!?

「合理的経済人仮説」と呼ばれる科学的管理法があります。人は経済的報酬のみで働き、その刺激がなければ、本来怠け者である――アメリカの経営学者であるフレデリック・テイラーはそのように考えたのです。ある面、飴と鞭であり、時代を超えて「人あまり」が生じた際、おそらく日本人の大半は仕事に対する熱意はなくなっているでしょう。

先月号でも触れましたが、都会では仕事時間を失った人たちが、〝フラリーマン〞という新しい社会現象を作り出しています。生産性の追求という政策を批判しているわけではありません。私は「働き方改革対策セミナー」を開催し、業種別の人時生産性の上げ方などの企業事例をあげました。典型的な労働集約型の仕事でも、業界平均の倍近い生産性を上げている会社もあり、売上高対経常利益率も10パーセントを越している事例もたくさんあるのです。

孫子の兵法では、常日頃から競合相手と自分の会社では、どちらの現場が教育・訓練されているかを明確にしなさい、と述べています。現場力が弱ければ、将来にわたって働く人びとの生活を保障できないのだということです。

アメリカなどは副業や兼業の規制はありません。半面、シビアに自分の力で生きていかなければならない雇用環境において、相当自分の才能やスキルを磨かなければ、すぐに解雇される運命にあります。その点、日本は労使関係という価値観よりも、お互いがビジネスパートナーとして、企業側が働く人びとを守るという、崇高な共同体的規範が暗黙の中にありました。

どちらが良いのか、その判断は現場の方々がする時代です。しかし、今後の政策は働く方々にとっても厳しくなると思います。数年後、働く企業の減少が目立ち、アメリカのようにホームレスが多くなるかもしれません。より自分の仕事能力を磨き、備える時です。

社長力・管理力・現場力の三位一体を孫子は訴えた

〝兵法〞で有名な孫子は、社員さんを守るためにも、安易な競争や、無理難題を強いず、現場の社員さんを大切に扱うように注意しています。卒(社員)を視ること嬰児の如し。故に之と深谿に赴く可し」、あるいは、「卒(社員)を視ること愛子の如し。故に之と俱に死す可し」と述べています。

本記事は、月刊『理念と経営』2018年2月号「企業の成功法則 社長力・管理力・現場力 三位一体論」から抜粋したものです。

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