企業の成功法則 社長力・管理力・現場力 三位一体論

日本の産業は、現場の「希望」を持つ力によってもたらされた

すべてが満たされ、最高条件を超えたときに、その種は滅亡します。
多少不便で、満たされない最適条件では、種は適正に保存されるといいます。鰯だけでは死滅しますが、天敵の魳を水槽に入れておくと生き通すのです。

世界的に珍しいほど希望を持たない日本人

小誌の7月号で、東京大学社会科学研究所の玄田有史教授が、希望学のお話をされていました。「わが意を得た」心境でした。

3年前の20歳から58歳の方々を対象にした調査ですが、ドイツ人は100人に約98人が希望を持ち、
日本人は世界的に珍しいほど希望を持たない、持てない人々の国になっている、とコメントされています。

特に、玄田教授は、「挫折を乗り越えてきたという自負を持つ人ほど、仕事に希望を持って取り組んでいる傾向が強かった」と指摘しています。
いまの教育は褒めることに偏り、成功体験ばかりを柱にしています。
保護者も何かあると教師に詰め寄り、「悪いものは悪い。良いものは良いのだ」という判断基準が、教育の世界で麻痺しています。

「苦しい状況にある人たちが、それでも前へ向かって進もうとするとき、その痛みを少しでも和らげたいと願ったとき、ふとこぼれ出る言葉が『希望』なのです」
「いいあんばいの失敗体験がないと伸びません」と、玄田先生が明確に述べておられるところを、親も教師も文部科学省の官僚も理解しなければなりません。

なぜ、日本人は希望が持てないのか。
それは、現在に安住し、未来に希望が描けていない。つまり、両親にも、学校の教師にも、国のリーダーにも、明確なビジョンがないからです。

ナチスの壮絶な強制収容所の体験は、『夜と霧』という書物に書かれています。
精神科医であり心理学者でもあるフランクルは、凄惨なありさまとご自分の体験を交えて、最悪な中でも希望を失わなかった人たちの姿を報告しています。
「それでも人生にイエスと言う」には、人間の精神性の高さや、命に意味を持つ人々の強さが述べられています。

希望を持った叩き上げの”現場あがり”の人たちよ!

日本は明治維新から150年を迎えています。パナソニックは松下幸之助翁が創業されて100年です。

日本の産業構造を支えてきたのは、戦中戦後を挟んですべて現場の方々の希望を持つ力によってもたらされたものです。

本記事は、月刊『理念と経営』2018年11月号「企業の成功法則 社長力・管理力・現場力 三位一体論」から抜粋したものです。

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