企業の成功法則 社長力・管理力・現場力 三位一体論

学ぼうという意欲を持った人が 何%いるか?

すべての最前線は現場です。顧客価値も顧客満足も、現場のモチベーションとマネジメント能力次第で高まります。「人が主役のマネジメント」の組織は、現場の声を聞き、現場の達成体験を支えます。

利益の八割は 現場が稼いでいる

 現場力とは「やり抜く力」です。現場力が弱い企業の特徴は管理力の拙さが挙げられます。現場にトップの意思決定情報を伝える力が不足した、「社長が言っているから症候群」です。目的も、なぜ行うのかの理由も部下に把握されていません。自分の考えがなくアカウンタビリティー(説明責任)が欠如しているのです。

 人が主役のマネジメントの「人」には、物事を主体的に捉えて「現場で起きる問題は、現場で解決していこう」というリーダーシップがあります。現場力を高めた企業が最後は勝利するのです。

 そのために、現場は「自分たちが最前線にいる」という意識を持ち、スキル、ノウハウ、知識、能力開発、資質の向上に「目覚める」ことが大切です。

 「わが社は現場が勉強してくれないので困っています」という相談を受けることも多々あります。多くが幹部としての指導能力に欠ける人たちです。エースカーゴ㈱の足立貴裕部長は現在三六歳ですが、大手物流会社のドライバーでした。エースカーゴに二三歳で入社するなり、トラックの運転手さんたちの心に灯を点けていきます。

 山中泰宏副社長が、企業内教育インストラクター養成コースで学んだり、マネジメント研修を受けたりすると、「副社長、皆が稼いだお金で研修に行っているのでしょう。僕らに先に教えてください!」と迫ります。

 現場の力を高めなければ中小企業は永続しないのです。折しも「人的資本経営」が叫ばれていますが、人を主役にするマネジメントとは、個人一人ひとりのスキル、ノウハウ、やり抜く力、可能思考能力、発展的な思考の展開力や、知識や、能力の開発を促進していくことです。

真の資本とは一体何か お金か不動産か人か

 人的資本経営とは、「真の資本とは一体何か?」という問いへの答えです。現金、不動産、設備、土地などを経営資源として大切にする「B/S経営」を実践する企業が少なくありません。私はあるセミナーでB/S経営を主張する方と全く逆の「人本主義経営」について講義をしました。経営資源を最大活用する力を持った人が、経営の中核に位置して、経営理念や、事業目的や、ミッションの大切さを説く人がいれば、「人が主役となる」マネジメントとなり、人が最大の資本になるのです。その結果、B/SもP/Lもよくなるのです。

 どんなに素晴らしい設備があっても、それを稼働させるのは現場の人たちです。しかし、問題は深刻だと思います。“失われた三〇年”で、日本は個人の学び続ける習慣が弱まりました。パーソル総合研究所の調査では、OFFJT・OJT・自己啓発にも関心を示さない人の割合が、世界の中で異常に高いのです。

 五二・六%のビジネスパーソンが読書すらしていないという結果でした。バブル経済で「人が資本の経営」は失われ、引き続き、一九九一(平成3)年のバブル崩壊から企業側の「教育投資」も減少を続けました。日本の企業は、米国の二〇分の一しか教育投資をしていないのが実情です。

 また、人的投資をしようにも、個人が主体的に学び続ける意志が弱まっている。日本は国際比較でも他国に大きな差をつけられています。

 現場力とは、若いときにこそ、主体的な意志を持って基礎基本である人間力・考える力・仕事力・感謝力を磨くことです。その上で応用としての「スキル、ノウハウ、知識、やり抜く力、可能思考能力」を身につけるべきです。

本記事は、月刊『理念と経営』2023年5月号「企業の成功法則 社長力・管理力・現場力 三位一体論」から抜粋したものです。

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