企業の成功法則 社長力・管理力・現場力 三位一体論
社長力
2026年1月号
「卓越した領域」を獲得したユニクロ

「多くの領域において並み以上でなければならない。いくつかの領域において有能でなければならい。一つの領域において卓越しなければならない」。ドラッカー博士の言葉が鋭く迫ります。
希薄になった日本企業の存在感
かつて日本の製品や商品やサービスは、イメージ資産としてのブランド力がとても高く、〝日本製〟は信用・信頼・尊敬を集めました。
香港に最初に行った折、船上からみるネオンサインの大きな看板はほとんどが日本企業のものでしたが、最後に行った時は日本企業の看板はほとんどありませんでした。日本企業の存在感が希薄になった、と残念に思ったことがあります。
アメリカの大手調査会社インターブランドは、二〇二五年のグローバル企業のブランド価値を算出しています。海外の売上高比率が高い企業を対象として、今後五年ほどで見込まれる利益などを基に、金額に置き換えての比較です。
選ばれた一〇〇社を国別にみると、一位がアメリカの四八社、ドイツとフランスがそれぞれ一〇社、デンマークが七社、日本六社となっています。二〇二五年版の首位は一三年連続でアップルです。
日本勢では「トヨタ(6位)」や「ホンダ(29位)」「ソニー(34位)」「ユニクロ(47位)」「任天堂(53位)」「日産(82位)」の六社がトップ一〇〇に入っています。
驚いたのは「パナソニック」は二〇〇〇年の調査開始から初めてランク外となり、国、企業の栄枯盛衰を強く感じます。松下幸之助ファンの一人として、残念な気持ちです。ぜひ頑張っていただきたく思います。
「ユニクロ」の飛躍と柳井正さんの逆境
どんなに順調であっても、ドラッカー博士が言われるように、「企業は多くの領域において並み以上でなければならない。いくつかの領域において有能でなければならい。一つの領域において卓越しなければならない」のです。われわれは肝に銘じて日々努力し、日本を「再び陽が昇る国」にしなければなりません。
カジュアル衣料チェーン「ユニクロ」を展開するファーストリテイリング会長兼社長の柳井正さんは、われわれと同じ中小企業経営者でした。父親の紳士服店を経営する小郡商事を承継し、大きなビジョンに向かって果敢にチャレンジします。著書の『一勝九敗』で次のように述べています。
「人もいない、物もない、カネもない状態で借金に頼って三年計画を作り、実行し始めてから自信満々だったかと言えば、しばらくの間は不安でたまらなかった。この商品は売れるだろうか、店にお客様が入っているだろうかと、本部での仕事や出張の合間をみて、よく店舗の状況を自分の目で確かめに行ったものだ。すべてが心配であったが、実行し前へ進むしかなかった。不安といえば(中略)銀行から借入れがなかなか進まなかったことだ。資金ショートをしてしまうのではないかと思った時もあった。ぼくや父親の個人資産が全部担保に入っている。(中略)ちょっとでも資金繰りがずれたりすると、危険な状態になる」
柳井さんのこの心境はいかばかりか―。多分どんな企業の社長でも、そういう気持ちを味わいながら、砂をかむような思いで精いっぱい笑顔を作り、日々努力して成功をつかむのです。
本記事は、月刊『理念と経営』2026年1月号「企業の成功法則 社長力・管理力・現場力 三位一体論」から抜粋したものです。
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