企業の成功法則 社長力・管理力・現場力 三位一体論

顧客価値づくりに欠かせない 現場の声

ドラッカー博士は「顧客の創造」「市場の創造」が最も重要である、と述べています。顧客価値を高めない限り、市場に見放されます。企業力とはマーケティングとイノベーションに対する機能強化なのです。

企業事例に学ぶ社長と幹部の実践学校

 アフターコロナ対策は、多くの企業が困難を抱えるという前提の元で、日創研では人財の採用・教育・定着や、業績向上、業務の標準化、ビジネスモデル革新のための動画学習システムを構築しました。その結果、短期間に三万人の方々にご活用いただいています。

 また、手本となる企業にご協力いただき、「企業事例に学ぶ社長と幹部の実践学校」をオンラインで開催しています。「三位一体経営」がうまくいっているモデル企業の社長と幹部に登場いただき、それぞれの役割と、相互支援の社風がどのように構築されてきたのか、その具体的な実践モデルをそのまま検証していただいています。試練を乗り越えるプロセスや手順をお教えいただくことで、お困りの企業が問題を解決するヒントとしてお役に立っています。

 リーマン・ショックで直面した最大の危機から見事に復活した株式会社エコリングからは、創業者の桑田一成氏、田中伸悟副社長、渡部優子CFO(最高財務責任者)による、次の災難に備えた「盤石なビジネスモデル」をご披露いただきました。五〇〇億円企業に飛躍されたポイントは圧巻でした。理論ではなくドラッカー博士の言う「実践」が主です。

 ①経営理念に戻り、②コア・コンピタンス経営へ移行し、③マーケティングとイノベーションを通して「顧客価値」を高める手法が重要です。

 また、大ピンチから、社員さんの一言で劇的にイノベーションした、ホビーショップ運営の株式会社冒険王からは、顧客創造や顧客価値、人財育成のあり方を、創業者で現会長の堀岡洋行氏や堀岡宏至現社長をはじめ四人の方々に、数値も交え、赤裸々に発表いただきました。



戦場ではあきらめた者が先に命を落とす

 冒険王は、現在、売上高八〇億円を超え利益も順調です。購入しやすいという機能的価値に加え、商品に詳しい多くの社員がお客様と深い関係性を築くなど、情緒的価値が高いことで顧客の満足を得ています。特に濱岡潤副社長が、経営幹部になる以前からマネジメント能力を発揮したことで、社員さんの定着がよく、「従業員エンゲージメント」が「顧客エンゲージメント」につながっている好事例です。企業文化が健全なことも、冒険王の顧客価値づくりを後押ししています。

 しかし、現在は順風満帆ですが、堀岡会長は実に多くの試練を乗り越えておられます。一九九二(平成4)年に玩具店を起業し、順調にいっていましたが、第一の試練が二〇〇一(同13)年に訪れます。冒険王の近くにアメリカの「トイザらス」が出店してきたのです。圧倒的な売り場面積と品ぞろえを持つ〝黒船〟の出現は、脅威というより死活問題です。近隣にトイザらスが出店した冒険王の既存店の売り上げは四〇%減で、毎月赤字が続きます。堀岡会長は苦しみました。

 さらに同じ年の九月、あるニュースがテレビ報道されました。冒険王がテナント出店していた「マイカル」の経営破綻です。売り上げ減少や赤字に苦しむ渦中で、堀岡会長の頭を恐怖がよぎります。支払いは遅らせることができる。しかし、「社員さんたちの給料が遅配になる!」という恐怖です。

 案の上、マイカルは民事再生法の適用を申請し、冒険王の四店舗分の売上金は完全に消失しました。その時、インパール作戦に従軍し背中に銃弾の跡がある父親が静かな口調で語りかけます。「戦場ではあきらめた者が先に命を落とす」と。

 堀岡会長はこの言葉で勇気を取り戻します。妻に貯金通帳を全部集めさせ、「貯金通帳にあるお金を全部降ろしてきてくれ」と伝えます。こうして前向きにこの試練を乗り越える決意をし、給料を全員に渡すことができたのです。

本記事は、月刊『理念と経営』2025年9月号「企業の成功法則 社長力・管理力・現場力 三位一体論」から抜粋したものです。

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