企業の成功法則 社長力・管理力・現場力 三位一体論
社長力
2025年3月号
誰もが発揮できる「浩然の気」

社長力とはビジョンを描き、考え、実行したか、その深さで決まります。無い知恵を絞り出す力です。「努力」をマイナーなものと考えがちですが、思いや考えは必ず形になって顕在化します。
天才ほど日々努力し工夫を重ねている
どの分野であっても、できる人ほど日頃から思い、考え続けています。その分、方法が生まれ、気持ちの上で余裕ができ、努力することが楽しくなります。なぜ努力するのか。何事も楽しくするために才能を磨き、スキルアップするのです。凡人が天才と互角に戦うには「寝ても覚めても思い続けること」が大切だからです。
つまり、目標実現の意図が強ければ、閃き・アイデア・着想が必ず生じます。「いや、浮かばない」という人がいますが、実は思いが浅い、あるいは思考に多少の歪み(バイアス)があるだけです。思っているつもりでも、熱意や努力が少し弱いのです。才能ではなく、関心度の差です。
たとえば、将棋の藤井聡太さんは、二〇二三(令和5)年の一〇月に王座戦で初めてタイトルを獲得し、史上初の八冠全冠を獲得しました。昨年九月に叡王戦に敗れて七冠王ですが、次には八冠を奪還するでしょう。
なぜ、このような天才が生まれたのでしょうか。理由の一つは才能です。それに加えて小さいときから努力し、一指し一指しを深く慮り、AIも活用しながら才能の花を開かせたのです。
努力とは、天与の才の具現化機能です。藤井聡太さんでも、怠るとすぐに冠位は奪われます。天才ほど日々努力し、気づきや創意工夫を蓄積しているのです。
目標実現への努力は才能を二倍にする
藤井聡太七冠は五歳で将棋を始めました。関心を持ち自宅近くの将棋教室に通い、小学四年のとき杉本昌隆八段に弟子入りしてぐんぐん強くなっていきます。少年といえども盤上の将棋の駒が夢にまで出て、第三者の対戦を見ながら盤上を深く観察し、帰宅してすぐに対戦を再現し、隠れたところで努力をして今の栄光があります。
つまり、すべての人に言えるのは誰もが才能を持っているということです。さらに、「挑むもの」があれば、人間は誰もが「浩然の気」(自分の体内に宿る活力)が発揮されるのです。
目標実現に対する努力や継続力は、その人の「一」の才能を二倍にする力となります。さらに、その二倍の才能を活用・工夫・努力すれば、四倍となります。同じように八回、倍の努力を続けると、一〇二四倍の才能が開花します。
努力しないで才能を放置している人の共通項は、目標がないことです。目標があれば必ず人間の精神活動は活発になり「浩然の気」が蘇ります。人間は「ひたむきに努力する人」に好感を抱き、応援します。結果、努力する人の成功の確率は高くなります。
今やわれわれ日本の一番の課題は、気力(心のエネルギー)が下がり、気の持ち方が悲観的になっていることです。世界のGDP(国内総生産)に占める日本の割合は、一九五〇(昭和25)年に三%でした。努力して九四(平成6)~九五年のピーク時には世界比約一八%を占めましたが、二〇〇〇(同12)年には約一五%に落ち、二三(令和5)年の日本の世界シェアは四%に下がっています。要因の一つは日本の指導層の、志という心のエネルギーや、公明正大で恥じることのない公益心が脆弱になり、「浩然の気」が喪失したことです。
本記事は、月刊『理念と経営』2025年3月号「企業の成功法則 社長力・管理力・現場力 三位一体論」から抜粋したものです。
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