企業の成功法則 社長力・管理力・現場力 三位一体論

企業の成功は、対人関係で決まる

社長力は「やればできる」という感覚の強さです。ハイパフォーマー(高い成果をつくり出す人)は苦手なタイプや意見の異なる人からも学ぶ姿勢があります。
そして、多くの人を信頼して好感を抱き、相手に対する強い畏敬の念と思いやりを持ちます。

対人関係能力の高い人と低い人の差

 ビジネスでも、対人関係でも、自分が相手に好意を示した分、必ず相手も好意を返してくれます。相手に嫌な感じを抱いていると、相手も嫌な感じをあなたに感じます。

 われわれは自分一人の力で成功することは極めて少なく、社長も幹部も社員も、社会的な恩恵を受けて今があります。あなたや組織を支援してくれた人がいたからこそ、成功があるのです。

 社長力とは、受けた恩恵を記憶し、いつまでも忘れない力のことです。ここでは対人関係能力の高い人と低い人の差はどこから生まれるのか、アメリカの心理学者、デニス・リーガン博士による一九七一年の実験で明らかになった「返報性の原理」を基にお伝えします。この法則を仕事や対人関係に活かせば、必ず誰もがハイパフォーマーになれます。

 返報性の原理とは何か? 簡単に「こだま」をたとえにしてお伝えします。

 山登りをしたときなどに、高い山に向かって大声で「大好き」と叫ぶと、それが響いて「大好き」とこだまが返ってきます。同じように、相手に尊敬・信頼・親しみ・好感を抱いていると、必ず相手もその気持ちを感じ取って、あなたに尊敬・信頼・親しみ・好感を返してくれます。

 つまり、人間は相手から大切にされたり、好意を受けたりすると、無意識のうちにその好意に報いたくなる心理作用が働きます。これを「好意の返報性」といいます。

「好意の返報性」は対人関係力の源泉

 返報性の原理には、「好意の返報性」と「敵意の返報性」があります。

 まず「好意の返報性」について詳しくお伝えします。自分が尊敬の念を示せば、相手もあなたに尊敬の念を抱き、そのような行動や態度で返報してくれます。相手に心から感謝すると、相手も感謝してくれ、何かあったときにそういう行動・態度をとってくれます。

 チーム・スピリット(チームへの貢献意欲)が、スポーツでも仕事でも、経営でも、何にでも一番大切です。「うまくいったこと」や「問題の解決」の八割以上は、チームの仲間の協力や、感謝している人たちの応援のおかげです。返報性の原理は対人関係には欠かせません。ハイパフォーマーはチームで目標に向かい貢献し合います。

 あいさつも同じです。相手に自分からあいさつをすると、相手も必ずあいさつを返してくれます。あいさつは対人関係に不可欠なマナーです。「親しき仲にも礼儀あり」で、あいさつしないのは相手をディスカウント(値下げ)する行為です。コロナ禍以降、「あいさつが少ない組織が多くなった」ことが一番気になります。あいさつを欠いた対人関係ではチームになりません。

 相手を称賛すると、相手もあなたを称賛してくれます。単に褒め合うのではなく、人間としての存在を称賛する、目標を共有する仲間として認めることです。これらは理論ではなく、実践に応用できます。先に自分から実践してみることで、「好意の返報性」の原理を証明してください。「好意の返報性」が対人関係能力の源泉です。

本記事は、月刊『理念と経営』2025年4月号「企業の成功法則 社長力・管理力・現場力 三位一体論」から抜粋したものです。

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