企業の成功法則 社長力・管理力・現場力 三位一体論
社長力
2025年1月号
可能思考能力は実践から学ぶ
すべてに可能性は宿ります。才能の「才」には「僅か」という意味があり、才に走る人は、人間力や感謝力が低下しがちです。驕りが出るからです。人間力・考える力・仕事力・感謝力を内側から支えるのが可能思考能力なのです。
この仕事は何のために行うのか
可能思考能力とは知識と実践の両面に裏づけられたものです。「やれる・できる」の成長型マインドセットの人は、①肯定的な解釈力と、②失敗からも学ぶ貪欲さがあり、③あきらめず、④最後までやり切ります。
そして、それらは「生まれつき」や「才能がある」という単純なものではありません。誠実に努力を続けることで、どんな困難に遭っても必ず可能性を見て、挑みながら「やれる」という確信にまで高めて、次々に形にしていくのです。
高い成果をあげるハイパフォーマーは共通して、高い貢献欲求や自己成長欲求であふれています。ハイパフォーマーは可能思考能力の高い人です。
可能思考とは、肯定的な解釈能力と前向きな発想で、素早く積極的に行動するという意味です。そして、「貢献」を最重要課題とし、あらゆることに取り組みます。
人間力の高い人は、「何のために貢献するのか、誰に貢献するのか、どうやって貢献するのか、何を通して貢献するのか」が明確です。
例えば、あなたがハイパフォーマーだとすれば、何事を行うにも「この仕事は何のために行うのか」を自分に問いかける習慣を持っているはずです。この「Why(なぜ)」「Because(なぜならば)」を持つことが社長力です。社長は日々、お客様や社員さん、社会から、その理由を問われる立場なのです。
誰もが持つ可能思考とは何か?
「なぜ」「なぜならば」が明確であると同時に、具体的な目標以前の「目的」を持つことが、とても大事です。事例を挙げますと、福井県に本社を置く自己資本比率九二・五%のT機型製作所は、一枚当たり四一二個の寸法線がある図面を使用しています。四枚重ね合わせると、約一二〇〇個の寸法線になるそうです。それを用いて、すべての製品に対して図面検査を行います。〇・一㍉の誤差が、残り一一九九個を台無しにしてしまいます。そういう緻密な仕事のやり方をしているのです。
そこで必要になってくるのが、「必ず決めたことをやる」「やると決めたことをやる」〝人財〟です。どういう人がいるかは企業の生命線です。
では、どのように「必ず決めたことをやる」のかといえば、何事も習慣化させる手法をとっているそうです。まずは3S(整理・整頓・清掃)と、朝礼の強化です。朝礼冊子「13の德目」を活用し、全員が一年三六五日、元旦から大晦日まで記入をしています。しかも、不思議なことに、記入を止める人は誰一人いないそうです。
それだけではありません。ニデック(旧日本電産)の創業者である永守重信氏の「能力の差は五倍、意識の差は一〇〇倍」という言葉を引用して、ミスのない業務遂行を促進しています。
また、遺伝子研究で有名な故・村上和雄先生の「遺伝子の持っている三〇億の遺伝子情報は誰しも同じ。能力の差とはその中の遺伝子がオンになっているか、オフになっているかの差に過ぎない」という話も、ことあるごとに社員さんたちに伝えているそうです。可能思考のワークショップ参加を含めて、さまざまな角度から社員さんの持つ可能思考能力に働きかけ、人間力・考える力・仕事力・感謝力を高めているのです。
その結果、T機型製作所は、市場シェアで明確なポジションを獲得しています。
本記事は、月刊『理念と経営』2025年1月号「企業の成功法則 社長力・管理力・現場力 三位一体論」から抜粋したものです。
成功事例集の事例が豊富に掲載
詳しく読みたい方はこちら
無料メールマガジン
メールアドレスを登録していただくと、
定期的にメルマガ『理念と経営News』を配信いたします。