企業の成功法則 社長力・管理力・現場力 三位一体論
社長力
2024年11月号
われわれは 「自分の命の経営者」です
世のため人のために仕事をしているという‟実感”を持って生きることは、最高の幸せです。社会から受けている恩恵に報いるためにも、組織の一人ひとりが仕事を通して自己を磨き、仕事力を強化していかなくてはいけません。社長の指導力が試されています。
仕事とは、「実践的な学問」
仕事とは、人間の持つ「貢献欲求」を満たし、自らの存在理由を手に入れる最大のツールです。仕事を通して社会を認識し、自らの生きた証しを明確に生み出していく最大の道徳行為といえるでしょう。
また、「自己成長欲求」を満たすと同時に、働く人たちが「生きる喜び」を実感できる職場をつくれたなら、社長力が発揮された最大の証しです。仕事とは「働く人の自己成長」が、社会への貢献度として唯一、数字に示せる貴重なものです。仕事とは人間力・考える力を磨く実験の場であり、「実践的な学問」なのです。
ドラッカー博士は、「目標は難しいものにしなければならない。背伸びをさせるものでなければならない。だが、可能でなければならない。不可能なことを目指したり、不可能なことを前提とすることは、野心的と呼ぶに値しない。単なる無謀である」と述べています(『仕事の哲学』)。
バブル崩壊後、働き手が職を失い、仕事探しに追われる光景は、実に哀しいものでした。失ってみて初めて「仕事の重要性」に気づき、働くことの意味を強く認識する機会でもありました。給料の問題だけではなく、「自分は一体何者か」と問う、強烈な試練でした。決めつけではなく、仕事はアイデンティティー(自己同一性)をも強く与えてくれるものです。
仕事を通して机上から実践生活の場に移動し、真の「社会の現実を知る」のが職場です。そのギャップを知って、自らの思うところを主体的に磨く貴重な「場」です。仕事の哲学の多くは厳しい現実から生まれるものかもしれません。
「仕事」の意味をどう解釈するか?
多くの社会課題や経済課題があるとしても、日本は間違いなく裕福になっています。「仕事」は辞書を引いても、明確に腑に落ちる定義はありません。あえていえば「何らかの人のお役に立つ」ことです。仕事の「仕」は「奉仕」の意味を含めた「仕える」です。では、何に仕えるのか?
仕事の「事」も、「事える」とも読みます。つまり、仕事とは、社会に仕え、奉仕し、「顧客のお困りの問題を解決すること」に「事える」のです。文字の意味をたどっていけば、「働く」の意味も「傍を楽にする」ともいえます。視野が広がり、人間性も発揮され、神聖な響きを感じる方もおられるでしょう。一方で、働かされ感、やらされ感を持つ方もいます。
多分、働かされ感、やらされ感を持つ方は、仕事の意味を「労働」、あるいは「苦役」と解釈されているものと思います。
作家の故・三浦綾子先生は、「人類は今に至るまで、額に汗して働かねばならず、死の苦しみをなめねばならぬことになった。エデンの園にはさまざまな木の中に『善悪を知る木』と『永久に生きる命の木』があったのだが、どうして永久に生きる木の実を彼らは先に食べなかったのだろう」と述べられています。
その後、「人間の原罪」について触れ、「善悪を知る木の実とは、即ち『知恵の木の実』である。この『知恵の木の実』は文化文明を生んだ」と、今の原子爆弾や核兵器開発などの愚かさを書いておられます(『聖書に見る人間の罪』)。
本記事は、月刊『理念と経営』2024年11月号「企業の成功法則 社長力・管理力・現場力 三位一体論」から抜粋したものです。
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