企業の成功法則 社長力・管理力・現場力 三位一体論

「確信」に至るまで考え抜け

可能思考が働くと、組織に「五つの成功条件」が整い、気づきの能力が高まります。
①情報収集力、②発展的な思考の展開力、③理念・目的に沿う力、④好奇心、⑤やり抜く力を持った人財こそが「人が主役のマネジメント」を実践することができるのです。

戦後の復興は先人の努力の賜物

 戦後の日本は内憂外患こもごも至るなかで、まさに不可能を可能にして奇跡のように蘇り、米国に次ぐ世界第二位のGDP(国内総生産)を生み出してきました。

 NHKなどの映像で東京の焼け跡の光景を目にすると、日本の政治家や官僚、企業の社長や幹部や社員さんたちが、必死に知恵を絞り、政策を実行に移してきた結果だったと誇りに思います。

 彼らはどのような悲惨な状況であっても、国土を再生させることが「できる・やれる・可能だ」という信念や希望を持っていました。「人間の念い」は必ず形になります。一九六八(昭和43)年、日本は当時の西ドイツを抜いて世界第二位になりました。

 城山三郎先生の小説『官僚たちの夏』などにも描かれたように、日本が力をつけるために、米国製品の関税率を上げることで輸入を抑え、逆に日本の製造業を蘇生させる政策をとったのです。

 もちろん、中小企業の社長たちも努力しました。研究開発や人材育成に尽力し、会社一丸となって「売れるモノは何か」「顧客は何に困っているか」と、市場の声の収集にも敏感に取り組みました。

 パナソニックの松下幸之助翁、新興企業のソニーの井深大氏やホンダの本田宗一郎氏ほか、多くの社長がどん底にあった日本経済を支え、産業立国の芽を育てていきました。日本の蘇生した姿を見ることなく、この世を去ったトヨタ自動車の豊田喜一郎氏は、国内自動車産業を世界一にした、われわれの誇りです。「時流を見る目」こそ社長力です。


情報の多さだけで、成長はできない

 日本の経済発展の原動力になった方々は、こぞって「国づくり」を志し、第一に全身で情報収集しました。「五つの成功条件」の一つ目は、「情報収集力」です。そして、その情報をじっくりと練り上げ、二つ目の条件である「考える力(発展的な思考の展開力)」を駆使して製品化しました。ほとんど不可能に近いことにチャレンジしながら、倫理観にあふれ、理念や事業目的、使命観を根底に強く持ち、ブレることなくやり抜きました。

 そして、何よりも「人」を大切にしました。人を主役に位置づけ、日本独自のマネジメントを確立したのです。情報といえば、ITやAI(人工知能)を連想しますが、企業経営は、社長の持つ情報の質と量で決まります。情報の質とは「気づきの能力」、情報の量とは「形にする力」です。

 しかし、情報の多さだけで、成長はできません。情報を感じる力、認識する力、フェイク(ニセ情報)かファクト(事実)を見抜く「発展的な思考の展開力」が欠かせません。その情報を形にする力こそ真の社長力です。製品・技術・サービスという形にするためには、「できる・やれる・可能だ」という確信が前提条件です。

 社長力とは「確信」に至るまで考え抜く力のことです。すなわち、思考を広げ、縮小し、集中させ、多様な試みを通して展開していくことで、視野が開けていくのです。その過程で解決のゴールは見えてきます。訓練次第で誰もが、「発展的な思考の展開力」を身につけることができます。

本記事は、月刊『理念と経営』2023年7月号「企業の成功法則 社長力・管理力・現場力 三位一体論」から抜粋したものです。

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