企業の成功法則 社長力・管理力・現場力 三位一体論

日本人は「勤勉と努力」をいち早く取り戻せ

社長力とは明確な目的(パーパス)を持つ力です。そして、世のためになる目的をスローガンで終わらせるのではなく、実現させる力のことです。管理力・現場力を高める理由は、目的を達成するためなのです。

努力と才能はどちらが大事か

 会社を経営する社長である皆さんは、努力と才能はどちらが大事だと思いますか?『GRITやり抜く力』の著者であるペンシルベニア大学心理学教授のアンジェラ・ダックワース女史は、「アメリカ人は、才能よりも努力と答えた人がおよそ二倍」と紹介しています。
 また、別の調査結果も紹介しています。「新しい従業員を雇用するとき、知的能力が高いことと、勤勉であることでは、どちらが重要だと思いますか」の問いに、「勤勉であること」と答える人は、「知的能力が高いこと」と答える人の五倍近くにも上るそうです。努力が軽視される最近の日本と比較すると、価値観の意外なギャップを感じます。
 知的能力(気づき)は欠かせないと、私も思います。知識社会といわれてから長い年月が過ぎました。デジタル時代であり、いろいろなスキルの根っこになっているものです。特に企業経営において、これから知的能力(気づき)はますます欠かせぬものとなるでしょう。
 しかし、競争の激しいアメリカで、日本人の伝統的な価値観であるはずの「勤勉と努力」が重視されているという調査結果は、今の日本人がいかに時代錯誤に陥っているかを物語るような気がします。
 どんなに知的能力が高くとも、努力してその知的能力を職場で活かし切れなければ、それは強みではなく、単にその人の「得意」というだけの価値にすぎません。
 われわれが行っているEラーニングツール「グロース学習(モデリング・メソッド)では、強みと得意は異なることを動画などでお伝えしています。企業経営において知的能力は欠かせませんが、新しい商品を世に出すには、研究・開発活動、商品化活動、市場活動と、跳みない努力を重ねなければ、短期間でお客様から見捨てられてしまいます。
 知的能力は重要です。しかし、人生で、仕事で、対人関係で、経営で、活かさなければ、それは宝の持ち腐れです。
 また、勤勉であることは、内在している人間の潜在能力を発掘する一つの作業・手順・方法であり、目的達成に対するコミットメントです。

間接の努力で成否が分かれる

 幸田露伴は明治四五(1912)年に著した「努力論』で、「努力は人間の本然の性」と述べています。人類は種の保存のために何万年も環境の変化に対応すべく努力し、進化して現在があります。かつての祖先の弛まぬ努力の上に今の自分の命があるのです。
 幸田露伴は、『努力は一である。しかしこれを察すれば、おのずからにして二種あるを観る。一は直接の努力で、他の一は間接の努力である。間接の努力は準備の努力で、基礎となり源泉となるものである。直接の努力は当面の努力で、尽心竭力の時のそれである」と述べています。
 間接の努力は準備・基礎・すべての源泉だと説いているのです。われわれはここに着目する必要があります。何事も準備が大事であり、直接の努力が報われるか否かは、この準備にあり、この一つにすべての成功の源泉があるのだと結論づけています。まさに企業の成長・発展のための最大の準備は「人づくり」にあるのです。

本記事は、月刊『理念と経営』2022年7月号「企業の成功法則 社長力・管理力・現場力 三位一体論」から抜粋したものです。

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