企業の成功法則 社長力・管理力・現場力 三位一体論

企業経営の成否はレディネスの高さにある

人生でも経営でも仕事でも、レディネス(学ぶための心身の準備)の高い人がおおむね成功しています。社長力とは、学びを素直に受け入れ、実践する心身の準備状態を日々整える力です。好奇心を持って困難なことでさえ前向きに捉える可能思考を涵養する力なのです。

中小企業の非常に優れたロールモデル

 株式会社ミヤザキの山之上道廣社長が、本誌のグループが主催する「経営サバイバルフォーラム」で、自社の成長・発展に関する講義をしてくださいました。
 二二歳で起業したときは、奥様と二人で内職のような状態からの出発でした。しかし、直近の売り上げに対する営業利益率は五〇%に近く、働く百七十数名の方々への特別賞与も総額約二億円です。製造業の平均営業利益率は三・一%ですから、いかに高い業績かがわかります。中小企業としては、われわれが目指すべき非常に優れた経営であり、私どもが推奨する「グリットカンパニー」の代表選手の一人です。
 人間力・考える力・仕事力・感謝力が高く、「友のために涙を流し、故郷のために誠
を尽くし、自分のために汗を流す」姿は素晴らしいものです。故郷である宮崎県小林市では、本誌を活用して経営者の勉強会を開催し、多くの社長や幹部の方々に企業経営の原理原則を啓蒙しておられます。
 現在、第七工場が完成し、第八工場を準備中ですが、創業から今日までに経営危機にも二度遭遇しています。起業した当時は、悔しい思いや情けない体験、罵倒される場面もありました。講義では「自分を罵倒したA社長や、借入金返済を厳しく迫ったB銀行の支店長のおかげで今がある」と述べておられました。当時は鬼のように感じた方々は、鬼ではなかったのです。

でけへん思うたらでけへんのや!

 人間は先天的な才能などで規定されるものではなく、学習や経験などによって成長するという学習優位説に基づく考え方を私はとっています。
 ただ、学習する前に、「学習する側の心構えや実践する身体の準備ができている状態」が必要です。これが心理学でいう「レディネス」です。企業経営にも同様のことが言えます。山之上社長は、常に心の準備、即座に行動する準備状態を整えていたから成功したのです。
 松下幸之助翁は、松下電送元社長の木野親之先生に「君な、でけへん思うたらでけへんのや!」と口癖のように言っておられたそうです。
 レディネスとは、何かをなそうとするときの社長や幹部や社員の心身の準備状態ですから、「君な、①「でけへん思う」たら、②「でけへん』のや!」という名言は、まさにのの「でけへん」という先入観や固定観念が、企業成功の心身の準備状態を強烈にじゃましていることになります。努力したとしても、②の「でけへん」結果に終わってしまうのです。
 私は社長・幹部を対象にして「社長・幹部のためのビジネスSA自己成長コース」というワークショップを行っていますが、
企業経営の成否は決して社長の先天性で決まるものではありません。
 「立派な会社にしたい」という思いが強い人は、無意識に「あらゆるものから学習しよう」「トライ&エラーで試してみよう」「今わからなくてもわかるまで続けてみよう」という、心身ともに準備態勢を整えながら部下に接し、お客様に接し、自分を磨き続け、経営に取り組みます。それを証明しているのが山之上社長です。
 私は社長という立場にある人を、仕事柄何万人と見つめてきました。うまくいっている人の特徴は、人の話を素直に聞く姿勢や心身の準備態勢を持っているということです。

本記事は、月刊『理念と経営』2022年5月号「企業の成功法則 社長力・管理力・現場力 三位一体論」から抜粋したものです。

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