企業の成功法則 社長力・管理力・現場力 三位一体論

悲観するよりも 「良い習慣」を身につけよう

バランス感覚を持った渋沢栄一翁は、世界的な経営学者・ドラッカー博士に影響を与えただけでなく、今日の強欲な資本主義を考える上でとても大事な人です。日本人の三分の一は貧困層に近いのです。

観察力旺盛に準備を怠りなく

  渋沢栄一翁に関して、お孫さんの鮫島純子先生に「渋沢栄一翁は、物事にはどちらかといえば悲観的で、人間には楽観的だったそうですね。その分先に怠りなく準備をされた方だったようですが⋯⋯」という質問をしたことがあります。そのお答えによれば、渋沢栄一翁は事前の準備には非常に気を使われた方だったようです。
  松下幸之助翁も事前の準備には万全を期しておられたようです。大切なお客様をお
迎えするときはより慎重で、庭に撒いた水が乾いていれば、再度、丁寧に水を撒いておられたと、「真々庵」の方にお教えいただいたことがあります。
  うまくいく人は、人間力・考える力・仕事力・感謝力が強く、仁義礼智信という人間としての本来あるべき姿を実践した、人間力溢れる人だということがイメージされます。渋沢栄一翁は慈愛に溢れ、九一歳でお亡くなりになった通夜の折、翁が設立した孤児院で育った青年が、御門の植え込みにござを敷き、夜遅くまでその遺徳と、受けたご恩を偲んでいたそうです。
  また、パリ万国博覧会への徳川昭武公随行の際、立ち寄る港の状況を観察しながら、日本が植民地になるとどうなっていくかを、じっくり考えていたのです。現代人は物事や仕事に取り組みながら、自分の心の有り様や、お客様の心の中を深く観察することが不得意な人が多いと聞きます。与えられて育ったせいか、自分事として解釈することが苦手になっているのです。現場力とは自分事としてとらえる力のことです。


人間は教育次第で誰もが成長できる

  現場力は自分で考え、自分で一応の答えを出す習慣が求められます。なぜなら、現場に考える力が弱くなった企業は生存が危ぶまれるからです。現場力とは観察力(気づき)に優れ、絶えず前準備をして万事抜かり
がないようにする力のことです。
  孔子は『論語』で「教有りて類無し」〈人は教育によって成長するもので、はじめから特別の種類はないのだ〉(「衛靈公第十五」)と説いています。同じく、「性、根近きなり。習、相遠きなり」〈人の生まれつきは、大体同じようなものであるが、習慣や学習によって大きくへだたるのだ〉(「陽貨第十七」)と説いています。渋沢栄一翁が人間に楽観的だったのは、人は教育次第で救えると確信していたからではないでしょうか。
  現場力を強くするには、自ら進んで学ばなければいけません。渋沢栄一翁は特別立派な大学を卒業したわけでもありませんが、常に自分の成長に意欲的でした。少しで
も「世の中のためになるにはどうあるべきか」「人のためになるにはどうあらねばならぬか」と、死ぬまで自らに問い続けて、ベストを尽くしたのです。
  孔子は「之を如何、之を如何とわざる者は、吾之を如何ともする末きのみ」〈これはどうしよう、これはどうしようと常に自分に問いかけないような者は、私にもどうしようもない〉(「衛靈公第十五」)と言われ
ています。

本記事は、月刊『理念と経営』2021年3月号「企業の成功法則 社長力・管理力・現場力 三位一体論」から抜粋したものです。

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