企業の成功法則 社長力・管理力・現場力 三位一体論

自社本来の可能性に気づき、「人」にフォーカスしなさい。

経営資源の中で人的資材の活用ほど効果的なものはありません。DX(デジタルトランスフォーメーション)の時代をチャンスと捉え、デジタルとアナログのハイブリッド経営を模索してください。今こそ、松下幸之助が唱えた衆知を生かすのが最先端の経営です。

社員に経営意識を持たせたい

  中小企業も"コロナ後"を真剣に考えるべきです。日本経済が短期間に成長できたのは、一つには日本人の持つ勤勉という文化です。同時に、朝鮮動乱のときのような特需を見逃してはなりません。
 「幸之助は、常に社員の経営意識を持たせたいと考えていました。衆知の経営をしていくには、社員一人一人が社長のような気持ちで働くことが一番大事です。『木野君、社員が全員社長のようになったら、会社は簡単に発展する。君も僕を使えるようになったら、一人前や』と、鼓舞されました。社員は会社の宝です」(木野親之『松下幸之に学ぶ 指導者の三六五日』コスモ教育出版)
 コロナ問題で、大手企業も含めて企業経営は大きなダメージを受けています。ワクチンができたとしても、変異の速いウイルきスには、抗体はできにくいのではないかと危惧する人もいます。企業経営は再び昨年のような危険にさらされ、希望を失った企業は廃業や清算、M&A(合併・買収)などの決断を余儀なくされると思います。  
 日創研では、セミナーごとに業績の月次アンケートをとり、毎月行っている各プログレスサポート(経営方針・業績アップ・人財育成・理念浸透などの進捗の支援)でも、同じように動向調査をしています。結果的に約三六㌫の会社が業績を戻し、前年より伸ばしている会社も二二㌫ほどあります。それらは概して「社員教育」に力を入れている企業で、社長や経営幹部自身も積極的に学んでいます。
 どんな時代環境にも「衆知の経営」が求められており、常日頃からの社員教育が感否を決めているように思います。このコロナ問題でさえ「現場力」がものを言うのです。


生産性を言うのならその基礎を磨くべきだ

  社長力とは経営理念の確立であり、理念を形にしていくための戦略構築力です。そして、それらの戦略を現場に落とし込むには、トップマネジメントとの共感力を持つ、ミドルクラスの現場への戦略的なアクションプランの実行が必要です。
 しかし、このときに現場の「戦略リテラシー」(戦略能力を身につけ、それに基づき戦略の創造と実行・実現する能力)の問題が生じてきます。常日頃からお客様に一番近い人たちの教育を怠ったところが、現在その大きなツケを払わされているのです。
 全員が経営者のような意識になったら、木野先生が述べられているように、会社は必ず発展するのです。松下幸之助翁は会社がまだ小さい頃から「店員養成所」(1934年開校)や「工員養成所」(1936年開校)をつくられ、日々「人を大切にするとは何か」のお考えを実践されていたのです。早々と一九六五(昭和40)年に週休二日制を実施されたのも、土曜日は自ら学ぶ時間としてお考えになられていたとのことです。夜学に通う者たちには学校に遅れないように気配りされていたと、松下幸之助翁にお他えした方々にお聞きしたことがあります。
 社長力とは、働く者が前向きに学んで、自らの個性を最大限発揮する環境をつくることです。しかし、現在の日本企業の社員教育の国際比較を見ると、そのお粗末な実態に驚きます。生産性を声高に言うのであれば、「働き方改革」の前に、人間性や考える力、仕事の意義や仕事力の向上など、その基礎を磨くべきです。


本記事は、月刊『理念と経営』2021年2月号「企業の成功法則 社長力・管理力・現場力 三位一体論」から抜粋したものです。

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