企業の成功法則 社長力・管理力・現場力 三位一体論

お客様が購入する「真の価値」を知っていますか?

アフターコロナは、イノベーションが重要になります。イノベーションは難しいものではなく、マインド、プロダクト、経営プロセスの一部を変えるだけでも成し得ます。課題は認識・自己への気づきだけなのです。

自己への気づき」が経営の重要な決め手

 アフターコロナにおける社長の最大の役割は、自社のすべての再評価と定義です。商品や技術やサービスがよければ顧客価値が高かった時代は終わり、さらなる顧客のベネフィットの追求が求められています。顧客から「個客」を意識する時代であり、お客様の多様なニーズに寄り添うことが大事です。
 そして、その前に「わが社の商品をなぜ、購入いただいているのか」に対する正しい
認識、気づきが必要です。二〇一八(平成30)年にアメリカの経営学誌『ハーバード・
ビジネス・レビュー」に発表された「セルフ・アウェアネス」(自己認識・自己への気づき)は、二〇(令和2)年以降、ビジネスリーダーに必要不可欠な能力として注目されています。自己への気づきが経営の重要な決め手となっているからです。お客様の悩みに気づく、その解決策に気づく、そういう人が多い会社しか生き残れないのです。
 B社は自社のマーケットでの占有率で、長年トップでした。売り上げを落としているわ
けではありませんが、頭打ちになっていました。じわじわと押し寄せる人口減少に多少の不安も感じていました。もちろん、大手企業にも負けない商品力とコア・コンピタンス(企業の中核となる強み)を持った会社ですから、頭打ちは長期的な経営課題です。
 B社は商品力だけではなく、お客様の相談にも乗り、購入後の心配や問題までシミュ
レーションして、時には「今は購入するのは早いと思います」と実にきめ細やかに説明
するなど、良心的な企業として高い評価を得ています。

「価値」のミスマッチが起きていないか?

 ところが、B社は、顧客価値診断を行い自社の機会に気づいたのです。通常、どの企
業もSW〇T分析"を通して自社の分析を行います。しかし、CーA(カスタマー・ンプレッション・アセスメント)診断で、お客様が価値と感じている要素と、自社が「顧客価値」としてお客様に提供している要素に、認識のギャップがあることに気づいたのです。
 勉強熱心なB社のい社長は驚きました。お客様は、自社の提供する価値とはまったく異なる価値を購入していました。そして出した結論は、新しいブランドをつくりあげることでした。①所得層を差別化して、②従来よりも高所得層に絞り込み、③同じ市場で販売し、④商品やデザインなどは求められる顧客価値を付加したのです。その結果、頭打ちだった売り上げはあっという間に二十数㌫も伸びました。コロナ禍の最中です。
 まさに、社長の「気づき」の力です。社長力とは、正しい顧客価値に気づいたときにイノベーションを起こす力のことです。特に、アフターコロナではワークスタイルやライフスタイルが変わり、お客様のペインポイント(痛み、問題、求める価値)は違ったものになります。お客様が購入する顧客価値と、自社の提供する顧客価値のミスマッチが起きないようにしなければ、業績は下がります。

本記事は、月刊『理念と経営』2020年11月号「企業の成功法則 社長力・管理力・現場力 三位一体論」から抜粋したものです。

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