企業の成功法則 社長力・管理力・現場力 三位一体論

ビジョンと現実の「差」にチャンスが眠っている

野村克也監督はデータ重視の「ID野球」で素晴らしい実績を残しました。集めたデータを素早く統合させ、配球のサインを送って打ちとります。その結果、自らも三冠王・名監督になるのです。社長もこれに倣い、一点集中で己を鍛え、部下を育てるべきです。

弱点から目を背けず現実を直視する

 野村監督のすごさは、たくさんの弱点を必死に克服して、一人前の選手になっていったプロセスにあります。強みを最優先するべきですが、経営の実態を知らない人は、致命的な自分の弱点や自社の弱点から目を背けます。
 社長力とはビジョンを語ることと、ビジョン実現を妨げる現実の自社の問題を発見し、重要問題から解決していく力のことです。そのことを証明したのが野村監督です。現実直視は嫌なものですが、夢見心地で経営できる時代ではありません。ビジョンと現実のギャップにこそ飛躍のチャンスが眠っているのです。
 野村監督は自分の足りない部分を補うためには、自分だけの努力では限界があることを知っていました。選手時代にはメモを片手に先輩に教えを請い、同じように他球団の優れた人にも聞きに行きました。成長するためには何も厭わなかったのです。孔子は『論語』の中で「下問を恥じず」<目下の者にもへり下って尋ねることを恥じなかった>と述べています。
 うまくいかない人に限ってメモを取りません。天才でない限り、暗記をしても20分後には42%忘れ、60分後には56%も忘却するといわれます。「俺は劣等感の塊」という野村監督にとって、それを克服するためなら恥でも何でもなかったのです。

「考える」ことが野村野球の基本

 野村監督の「考える野球」は、当時の南海ホークスにテスト生として入り、「解雇されることの恐れ」から始まったといってもいいでしょうあ。苦労を掛けた母親に恩返しをするために、何が何でもプロ野球におけるポジションが必要だったのです。最後に頼れる者は自分です。実力を身に付けない限り、プロの世界では生きていけないと、コツコツとノウハウを積み重ねていったのです。
 まず、①考える。次に②仮説を立て、③実行し、④成功したり失敗もして、⑤その原因を考える。さらに⑥自分なりの仮説と結果の差異を考える。このように、一にも二にも考え尽くしたのです。あらゆる側面から思考をフル回転していますから、AIに使われる「パターン認識」の量が普通の選手の数十倍増えて、時間の経過とともに実践知の塊のようになっていったのです。究極、経営も、野球も、人生も、すべて「気づきの能力」が根底になければならず、何事も可能思考で決まるのです。

本記事は、月刊『理念と経営』2020年6月号「企業の成功法則 社長力・管理力・現場力 三位一体論」から抜粋したものです。

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