企業の成功法則 社長力・管理力・現場力 三位一体論
社長力
2020年1月号
できもしないことを羅列する「行動しない政治家」への注文

グレタ・トゥーンベリさんは十六歳の環境活動家です。二〇十九年九月に開催された国連の気候行動サミットで、気候変動に無策の政治家を、「よくそんなことが言えたものだ」と激しく非難しましたあ。日本も与野党問わず、その言葉に答えてほしいものです。
若者へのビジョンが描かれていない
海外からの観光客が増えています。日本の情感豊かな国民性にふれた人々からの評価も高く、リピーターも多いようです。こうした傾向は、地方の過疎化対策としても喜ばしいことです。
安倍政権の外交政策は評価できます。しかし、二〇十九年(平成31)年四月施行の「働き方改革関連法」には、再考を促す人が増えています。与野党含め、政治への不信は募るばかりです。理由の一つは、当初期待された「官邸主婦」が誤解を生み、問題やスキャンダルも含めて、国民に不信感をもたらしたことです。いまだに官僚の文書改竄問題の国会答弁にも疑問を持ちます。一体、日本の未来をどういう方向に導いていくのか、若者へのビジョンは描かれていません。
社長力とは、お客様の働く人たちにビジョンを示す力です。胸を張って言うべきことを言う力も社長力です。大手企業が利益を稼いでいるのは間違いありません。納税額が多いことも当然です。それは戦後ずっと、中小企業が支えてきたからです。
だからこそ、大手企業の手形廃止や、価格を不当に値切る行為は厳重に取り締まるべきです。粗利益が出せず、販管費も賄えない価格を押し付けている実態があり、苦痛の声が聞こえます。働き方改革に耐えきれないボトムの仕事は、特別法で緩和策を講じなければ、社会のバッファー(緩衝材)として努力している社長たちはいなくなるでしょう。
ボトムの仕事がなければ世の中は成立しない
世界的に見ても、多くの政治家は選挙のときだけ国民が喜ぶような公約を掲げています。衆愚政治の横行です。それだけに、「HOW DARE YOU!(よくそんなことが言えたものだ)」というグレタ・トゥーンベリさんの怒りに満ちた声には、心から拍手を送りたくなると同時に、自分が問われているようで反省もありました。
「あなた方が話すことは、お金のことや、永遠に続く経済成長というおとぎ話ばかり」という発言に、株式資本主義になじめない私は、思わず感動しながら頷きました。
日創研の会員企業にアンケート調査をしたところ、約四千数百人の経営者が答えてくださいました。それによると、人手不足は非常に深刻です。最低賃金の上昇に加えて材料費の高騰もあり、中小企業は塗炭の苦しみを味わっています。
一方で、時間短縮で働く人の収入はあまり上昇しておらず、こうした歪みをどうするのか。もちろん、魅力なき企業には働き手は集まってきません。これは改革云々以前の問題です。
ただ、ボトムの仕事がなければ、世の中は成立しません。社長の宿命とはいえ、元請けからの非人間的な要求に怒りを抱くのも当然です。意図的につくれらた人手不足であり、ダブルワーク(仕事の掛け持ち)での働く人への会社側の責任問題は、いまだ曖昧です。また、健全な職業意識が損なわれていることも否めません。
人間の人間たる証明は、健全な人生観や社会観、人間観、職業観などです。単に時間数、あるいは金額などで定量的に測れるものではなく、その人の生涯を貫く重要なものです。それは日本国家を貫く国民性となっていくものです。
政治家の「票になればそれでよし」という風潮が、世界を覆っています。賢慮に欠ける政治家もいて、十六歳の少女の「よくそんなことが言えたものだ」に共感する人も多いと思います。
純粋な少女の発言ですから経済を一切無視しているように感じる人もいるでしょうが、彼女は地球や人類の未来を見ています。票を得るために、できもしないことを羅列する、行動なき政治家への注文です。
本記事は、月刊『理念と経営』2020年1月号「企業の成功法則 社長力・管理力・現場力 三位一体論」から抜粋したものです。
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