企業の成功法則 社長力・管理力・現場力 三位一体論

海外勢は、日本人よりもっと努力している

NHKの番組の中で五歳のチコちゃんが、目上の有名人ゲストをバリエーション豊かに叱ります。そのストレートな言葉に私自身がグサッと反省させられます。「ボーっと生きてんじゃねーよ!」が流行語にもなった、実にユニークな番組です。

遠くをはかる者は富み近くをはかる者は貧す

 日本社会は多くの課題を積み残しています。最大の課題は事業承継問題や青少年の教育の問題、少子高齢化対策、市場の縮小をどうチャンスにしていくかなど、多岐にわたります。チコちゃん流に言えば、未来のことも描かずに、「今さえ良ければいいんじゃねーよ!」という厳しい時代になりました。
 社長力とは、未来を見据えて事前の一策を練る力のことです。二宮尊徳翁は、「遠くをはかる者は富み、近くをはかる者は貧す。それ遠きをはかる者は百年のために杉苗を植う。まして春まきて秋実る物においておや。故に富有り。」と述べています。今の日本を取り巻く諸問題は、近くをはかる者によってもたらされているのではないでしょうか。「未来の子どもたちにツケを回すんじゃねーよ!」と、チコちゃんに叱られそうです。
 一つは、国際競争力が世界第三〇位に落ちたことです。日韓関係がこじれていますが、その韓国でも二八位です。
 かつて、私がスタンフォード大学のアジア・パシフィック研究所で客員研究員をしているとき、中国研究で第一人者だった故ハリー・ローウェン名誉教授は、中国の長期戦略を見て「中国のモノづくりのメリットが低価格だけの間は、日本はあまり影響を受けない。しかし、技術や品質に総力を挙げ出したときに、日本が最初に打撃を受ける」と日本の危機を予測しました。まさにその通りになっています。
 私は二一年間、毎年九月に起業家養成スクール生を案内して、シリコンバレーツアーを行っています。ツアーではスタンフォード大学の教室で私も講義をします。定点観測して情報を集め、現場を見ていると、年々、日本の近視眼的な姿勢に危機感を強くします。

「島国気質を強く感じる、世界を見ていない」日本

 前述の調査で、日本企業の意思決定力は六三カ国中、実に六三位です。近年の企業業績の数字は少し良いとはいえ、世界経済の景気拡大に乗っただけです。砂上の楼閣のようで「遠くをはかった」形跡を感じません。
 アメリカから来日される方々に
お会いしたとき、私は必ず「日本は悪いほうに変わった」「ますます、島国気質を強く感じる。世界を見ていない」「日本は多くが我田引水で新しいことにチャレンジしてない」など、チコちゃんが聞いたら相当厳しく叱られそうです。われわれ中小企業も、経済界も、産業政策も、あまり危機感はもっていません。
 決して日本人が怠けているわけではないのです。しかし、台湾、ベトナム、シンガポールなど海外勢はもっと努力しています。すでに中小企業は、原材料費、物流費、人件費の高騰で、販売費及び一般管理費を賄えなくなり、徐々に赤字に転落し、今後相当の打撃を受けるだろうと予測できます。

本記事は、月刊『理念と経営』2019年11月号「企業の成功法則 社長力・管理力・現場力 三位一体論」から抜粋したものです。

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