企業の成功法則 社長力・管理力・現場力 三位一体論

未来に対する不安は、「明確なビジョン」がないことにある

「本気」という言葉は死語化し、働くことは悪いことだと感じる人が多くなり、手軽に物事を考える癖がついています。それでは健全な国家も企業経営も発展しないばかりか、日本の財産である「志ある」人材も育ちません。

何事も、順風なときに最大の悪い種が蒔かれる

堺屋太一さんが平成最後の年の2月にお亡くなりになられました。『油断!』や『組織の盛衰』などの著書で、われわれに多くの警告を発してきました。官僚のお粗末さが平成の特徴ですが、堺屋太一さんも東京大学卒業後、現経済産業省へ入省した立派な官僚であり、小渕内閣、第二次森内閣で経済企画庁長官の任務を担われました。

『団塊の世代』というタイトルは流行語になり、その後も団塊世代以降の日本の姿を口にされていました。堺屋さんが未来へ警告を発した通りの危機を、日本は平成時代に迎えたのです。まさに、いま日本全体が〝油断〞して閉塞感が漂っています。

堺屋さんは平成時代を「欲ない・夢ない・やる気ない」と喝破されています。経済的には高い利益を生み出していますが、なぜ日本はそんな国になったのか。理由の一つは、世界の大きなイノベーションに乗り遅れてしまったからです。日本は世界的に見ても、経済格差も少なく、努力さえすればまだまだ報われる国です。

未来に対する不安は、明確なビジョンがないからです。吉田茂元首相のような本気の政治家がいて、そのビジョンに向かって官僚主導で戦後の日本経済が発展したことを忘れてはいけません。城山三郎の『官僚たちの夏』をひもとくまでもなく、戦後のこの国を守るため、政治家も官僚も命を削って復興に立ち上がったのです。当然、国民も、です。

ところが、何事も順風なときに最大の悪い種が蒔かれます。なによりも油断です。膨大な財力があり権限も大きい組織がつぶれる原因は、三つあると堺屋さんは述べています。①機能組織の共同体化、②環境への過剰適応、③成功体験への埋、であると。

本気さを失った平成時代と本気で立ち上がった企業

バブル期までは、われわれは汗を流し公益を意識し、ビジョンに挑みました。まだ知恵を駆使し、自助努力の精神を有していたように思います。新技術を開発し、新しい製品を海外に販売し、企業としての機能やシステムは働いていたのです。しかし官僚を含めた金融界は、バブルに弾みをつけ、多くの企業経営者を金に溺れさせ、企業は企業で無造作に甘い話に乗って「錬金術師」のごとく踊りました。平成時代は「驕おごれる者久ひさしからず」と言えます。日本は1988(昭和64)年から4年連続で国際競争力第1位といわれてきましたが、実はバブルだったのです。まさに泡でした。

本記事は、月刊『理念と経営』2019年5月号「企業の成功法則 社長力・管理力・現場力 三位一体論」から抜粋したものです。

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