企業の成功法則 社長力・管理力・現場力 三位一体論

”先延ばし“の企業文化は、すべてトップがつくり出している

社長の第一条件は「正しい意思決定」です。場合によっては走りながら考えなければいけませんし、時によってはじっくりと熟考して、練りに練った戦略立案が要ります。判断力が厳しく問われるのです。

日頃の問題意識と向上心が社長の判断力を強化する

「新しい時代の社長学」という講座を、1年間のプログラムとして行っています。激変の時代であり、世の中は四つの潮流と、12の技術で大きく変わります。詳細は避けますが、日本企業の鈍さと、明確な産業政策を打ち出しきれない大きな政治課題だと思います。

①経営理念体系と未来の経営戦略の整合性がとれない。②マーケティング戦略と、その具体的なアクションプランの完成が遅い。③ECで挑んでくるアマゾンなどの新規参入で、販売戦略が明確に組み立てられない。④CIA(コーポレート・インプレッション・アセスメント=企業印象価値)など、社長の判断力が強く求められています。

現在、日創研では「アクティベーター」を参加企業へ派遣し、「壁を打ち破る会議」を開催しています。どの会社にも無自覚の壁や無関心の壁、さらに、日頃から学ぶ場を与えなかった結果としての無知の壁、その3つの壁による〝無責任の壁〞が存在する会社もあります。

なぜ、問題を先送りし、経営課題に着手しないでずるずると先延ばしにする会社が多くなったのか。1つには企業経営が複雑化して、その変化の速さについていけない面が挙げられます。つまり、従来の古い知識では、AにすべきかBにすべきか、判断がつかないのです。

2つには、経営の原理原則を身につける社長が少なくなっていることです。時流を読むことは急務です。しかし、どんな時代にも経営の原理原則が大事なのです。

小誌でいう理念と経営は、二元論の主張ではありません。渋沢栄一翁は論語と算盤といい、道徳経済合一説を展開しました。論語と算盤の2つがあるのではありません。社長力とは、それら両輪を身につけて素早く判断する「一瞬の決断力」のことです。

㈱エコリングの桑田社長に”成功の女神“が微笑んだ

リサイクルショップで飛躍しているエコリングは、新しいビジネスモデルを構築して成功しています。ちょうど12年前の「19TT」(企業内教育インストラクター養成コース)で、桑田一成社長は見事な経営方針を発表されました。私は直感的に、今後はこの経営計画書の発表は他ではしないように助言しました。
案の定、時間とともに多くの新規参入が起き、もてはやされたリサイクル業界も、現在は苦しんでいます。リーマン・ショックのとき、桑田社長も危機的状況でしたが、ちょっとしたアドバイスを実践に移し、素早く手を打ち破は 綻たん寸前で息を吹きかえしたのです。

過日、その桑田社長が『経営者のみなさん! 準備できていますか?』(出版文化社)という著書を出されました。私は帯に「高みを目指して挑む人には一途さがある。これは夢を抱き苦難を克服した仲間達の物語なのだ」と、素直な気持ちで書かせていただきました。企業経営は桑田社長のように、真剣勝負でなければいけません。渋沢栄一翁は、「長い間の善悪の差別は確然とつくものである。悪いことの習慣を多く持つものは悪人となり、良いことの習慣を多くつけている人は善人となる」と述べています。

成功の女神は、素早い意思決定の積み重ねの習慣を身につけた者にしか微笑みません。社長力を妨さまたげる悪あく癖へきは意思決定しないことであり、正しい判断力の欠如と、優柔不断さが致命傷になるのです。

本記事は、月刊『理念と経営』2019年3月号「企業の成功法則 社長力・管理力・現場力 三位一体論」から抜粋したものです。

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