企業の成功法則 社長力・管理力・現場力 三位一体論

「友」とはお客様です。そして、働く社員さん、経営幹部です

社長力とは、自分を育て慈しんだ誰かのため、あるいは、何かのために誠を尽くす力だと思います。誠を尽くすのは至難の業ですが、孟子の言う「至誠通天」の意味の深さを思い知りました。

今別府産業㈱の会長室で出合った「額縁」の言葉

仕事の関係で、いろいろな会社の社長室や会長室を訪問します。そこには、自分の好きな言葉が額縁に飾られていることが多く、お待ちしながら拝見すると、社長の人柄に感動します。

どんな座右の言葉を持つかは、その人の人格を現すとともに、社長の最大の自己表現です。鹿児島にある今別府産業を訪問したとき、「故郷のためには誠を尽くし、友のためには涙を流し、自分のためには汗を流す」という言葉に出合いました。

昨年のNHKの大河ドラマ「西郷どん」のシーンは毎回泣かされました。廃藩置県の後の岩倉使節団の留守役を任された西郷は、明治新政府の腐敗に悩まされていました。各地で不満分子が争いを起こし、農民までが貧困のために各地で反旗を翻します。このままでは国はまとまらないと考えて、明治天皇に巡幸を促します。

そして、巡幸の最後の地は鹿児島です。藩主の座を失った島津久光のために、島津家の家来は「県令」の地位につけてくれるように西郷に頼みますが、それでは諸藩が元に戻り、幕藩体制に戻ってしまうことは言うまでもありません。西郷はきっぱり断ります。そういう事情を背景にした巡幸です。感動の場面は諸式典が済んだ後です。

久光が西郷に、明治新政府の腐敗や山縣有朋による汚職事件などの憤懣をぶつけます。「兄の斉彬がつくりたかった国は、こんな姿だったのか。お前が理想としたこの国はこれでいいのか。お前たちは多くの犠牲

を出してまで、こういう国をつくりたかったのか」

当然、西郷には返す言葉がなく、哀しい顔をします。西郷自身が最も危惧し、新政府のあり方に頭を痛めているときです。久光の言い分はもっともであり、答えようがないのです。

その時です。西郷を憎み、何度も何度も西郷を追い落とし、島流しにして、死ぬ目に遭わせたあの久光が言い放つのです。「お前はあきらめているのではないか。もうこの国は自分の力ではどうしようもないと、半分投げ出してはいないか。あきらめるな。戦え。戦って、戦って、駄目だったら薩摩に戻ってこい」。

本記事は、月刊『理念と経営』2019年2月号「企業の成功法則 社長力・管理力・現場力 三位一体論」から抜粋したものです。

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