企業の成功法則 社長力・管理力・現場力 三位一体論
管理力
2026年1月号
「顧客価値」を生み出す力を磨け

ユニクロを展開するファーストリテイリングは効果的効率主義です。効果的とは、先に明確な理念を持ち顧客価値を高めることであり、効率とは顧客価値を高めるビジネスモデルへと革新を起こし、利益を創出する力のことです。
ビジネスの決め手は顧客価値づくりである
ファーストリテイリングで誰が一番発言権があるのか問えば、多くの人が「柳井正さん」と答えるでしょう。しかし、柳井さんは「お客様」と明確に発言されています。「効果主義」はお客様に対してであり、お客様への情緒的価値の向上が最大に求められるのです。
マーケティングの第一人者である、慶應義塾大学名誉教授の嶋口充輝先生には、長い間ご指導いただきました。先生は「効率は後にしてでも、どうすれば顧客の満足を得るのかを最大優先すべき」と、講義の中で力説されました。
顧客価値を高めるのが管理力であり、その効果性の欠如が「顧客の創造」を妨げているのです。
現在、兵庫県立大学の教授であり、経営学者である川上昌直先生も「利益イノベーション」のビジネスモデル革新講座で、徹底した顧客価値の創造の必要性を訴えられ、顧客価値を高めた上でしか「利益創出はできない」と強調しています。そのうえで、イノベーションとしての「9セル」(ビジネスモデル構築のフレームワーク)を伝えておられます。
ドラッカー博士も同じです。すべてのビジネスの決め手は顧客価値づくりであり、管理力とは「顧客価値を創造する力」なのです。
嶋口充輝先生は「先に効率を求めてはいけない」とすら述べています。
うまくいっていない組織には、共通した欠陥があります。それは報告・連絡・相談・確認のコミュニケーションがとれていないこと。考える以前にこの当然のことがなされていなければ、顧客価値を喪失します。
「顧客の視点」に立つ企業文化を目指す
管理力とは、第一に報告・連絡・相談・確認です。ムダ、ムラは内部の問題ですが、例えば納期時間の報告ミスが起きると致命的な事態となり、考える以上に相手企業のボトルネックになります。
報告・連絡・相談・確認は当然のことであり、ヒューマンエラーなどと安易に考えていては、顧客満足度どころか、不満足が生じて、ブランド価値が下がります。信用信頼を失うのです。管理力とは、何らかをルール化することで防止策を打ち出し、効果的に顧客価値をつくり出すことです。ルールを決めると、効率ばかり追うように一見映ります。可視化する状況、あるいは、エラーが出ない仕組みづくりが「効率追求」と誤解して映るのです。
しかし、ファーストリテイリングは絶えず「顧客の視点」に立つ企業文化を目指して、次々とヒット商品を生み出し、ブランドコンセプトを守っています。
組織全体が顧客に向かい、ブランド戦略の中心であるパーパス(「服を変え、常識を変え、世界を変えていく」)にコミットしています。二〇〇〇(平成12)年秋には五一色のフリースが勢ぞろいして、目標の二倍以上の二六〇〇万枚を販売し、ユニクロ最大のヒット商品になりました。
本記事は、月刊『理念と経営』2026年1月号「企業の成功法則 社長力・管理力・現場力 三位一体論」から抜粋したものです。
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