企業の成功法則 社長力・管理力・現場力 三位一体論
管理力
2025年5月号
「貢献以上の価値」しか生まれない

管理力はマネジャーに不可欠なものです。マネジメントにおけるマネジャー(管理者)に求められる任務は多岐にわたり、それだけにやりがいもあります。組織の要としてハイパフォーマーに挑みませんか。
ミドルマネジメントとトップの違い
企業の管理階層はおおよそ四段階のポジションで組織化されています。社長をはじめとする取締役がトップマネジメントチームをつくり、社長のビジネスパートナーとして意思決定機能の役割を果たします。
それ故①目的や使命の共有、②戦略的思考を持つ、③経営資源の最大活用のための機関、④社長に進言する立場です。それだけに、マネジメント能力が求められる立場です。当然、名誉職ではなく意思決定の権限と、それを成果に結びつける責任があります。
ミドルマネジメントは、そうしたトップマネジメントの決定事項を、具体的成果にすべく、管理するポジションです。トップの出した指示の意味を、①自分で考え、②実行し、③自分の言葉で伝え、④理解できない部下を育成し、⑤リテラシーの高い部下を育て、⑥行動管理とアドバイスを経て、⑦具体的に成果(結果)にしていく職位です。成果と働く人の喜びを左右する重要な立場であり、通常「マネジャー(管理者)」と呼ばれます。
ドラッカー博士はマネジャーの仕事について「成果をあげることです。そうすることで報酬を得ています」「成果をあげることは才能ではなく、習慣的な能力です」と述べています。①自分の時間がどのように使われているかを知り、②重要な仕事のための時間を確保し、③期待されている成果を知り、④強みを基盤とし、⑤重要なことに集中し、⑥成果をあげるように意思決定を行い、⑦成果を評価する、という総合的な能力だと明言しています。また、⑧何に貢献すべきかを知り、⑨何に貢献したかを知ることだと述べています。トップと違い、ミドルマネジメントは管理的意思決定をする立場です。
マネジメントに求められる三つの貢献
ミドルマネジメントの下にロワーマネジメントが存在します。現場の業務の役割で「業務的な意思決定」を行う立場です。①現場で起きるいろいろな問題を把握し、②問題解決を支援し、③動機づけをし、④現場を励まし、⑤働くことの意味を語り、⑥チーム・スピリットを促し、⑦スキルアップを図ります。マネジャーもキーパーソンです。次代を担う位置です。また、どのマネジメントも、三つの貢献が求められています。
第一の貢献が、直接の貢献です。日々継続的に行われるもので、①売り上げをあげる、②顧客数を増やす、③生産性を上げ、④利益を高めるなど、企業の存続に必要な貢献です。報告・連絡・相談・確認をしながら、絶えず情報交換をすることは、日々の貢献のためであり、直接の貢献を実行するためにも重要なマネジメントなのです。
第二の貢献が、お客様に提供している顧客価値を高める取り組みです。①コア・コンピタンスを創り出し、②商品や技術やサービスの品質を高め、③イノベーションを起こして新しい付加価値を提案する。④改善を続けることでお客様のニーズに応える。⑤新製品や新技術の開発など、諸活動を長期的に実践し続け、顧客価値向上に努める貢献が要ります。
第三の貢献は、明日を創る人の育成です。ドラッカー博士は「今日のうちに明日の人材を用意できなければ、企業は自らを存続させられない」と述べています。
この三つが実践されて初めて健全な組織になります。また、マネジメントが現状に甘んじ自らを変化できなければ、貢献していることにはなりません。四つの役割もあります。目標設定、組織化、動機づけとコミュニケーション、そして評価です。プレイングマネジャーは、どの組織でも苦労する立場です。未来を担う部下をハイパフォーマーにすべく努力するのは、プレイしながらの最大貢献であり、義務とはいえ実に困難なポジションです。
本記事は、月刊『理念と経営』2025年5月号「企業の成功法則 社長力・管理力・現場力 三位一体論」から抜粋したものです。
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