企業の成功法則 社長力・管理力・現場力 三位一体論

代償を払わずして受け取るものは小さい

感謝力の高い人は、見えないところで努力します。その積み重ねが実力になり、周囲から感謝されるようになります。社長や部下の間で苦労の多いポジションですが、部下育成や、上司の足らざる部分を補う役割に徹すると、必ず豊かな日々を送ることができるのです。

目標を実現すると感謝力が高まる

 今回はハイパフォーマーの感謝力について述べています。特にチームのモチベーションを高めるには、社員さん一人ひとりとの関係性を深め、一人でも多くの目標実現能力の高い人材の育成が必要です。

 仕事がうまくいかないときや、対人関係で対立が生じるときがあっても、感謝力があれば、逆にモチベーションが高まり、ハイパフォーマーとして存在感が増します。

 ドラッカー博士は著書の中で、「目標管理」について、目標は主体的に本人に決めさせることが大切だと述べています。自主的に目標設定するのは難しいことですが、モチベーションの高い人は自己成長欲求をバネにして、必ず挑んでやりとげます。

 新卒入社の新人でも、わずか数カ月で自主性を発揮し、指示されないことでも、自分の考えを駆使して価値の高い業務を行います。自己成長欲求が高い人に共通するのは貢献欲求です。つまり、入社時から成長欲求を満たすOJT(職場内訓練)を準備する。すると、自主的に自己を高めた分、貢献欲求が高まるのです。動画学習の「グロースカレッジ」の活用が不可欠な時代です。

 新人でも目標実現することにより、自己効力感が生まれ、より一層、感謝力が高まります。感謝力を高める方法の一つとして、毎年「心に残る、ありがとう!」体験談を提出させている企業もあります。感謝力とモチベーションの関係を実感しているからです。

人は誰もが感謝力を持っている

 小誌は二〇年近くにわたり「ありがとう経営」推進キャンペーンの一つとして、「心に残る、ありがとう!」体験談の原稿募集を行っていますが、感謝しているとき、あるいは、「ありがとう」の思い出を書いているとき、人は物事を否定的に解釈しません。感謝力が高まると肯定的になるからです。

 祖父母や両親、学校の恩師や学友たちに、「こんなに多くの恩恵を受けていたのか!」と気づきます。社長は献身的な経営幹部によって会社の成長を実現し、経営幹部は会社に献身するポジションを与えられ、その能力を発揮し実力を身につけているのです。

 心理学者のアルフレッド・アドラーは、メンタルが不調の人に対して宿題を出していました。「来週の来院までに三つだけ人の役に立つことをしてきてください」と、優しく述べて診療室から送り出し、一週間後の来院時にじっくりと傾聴していたのです。つまり、人の役に立ったという体験を通して、患者の「感謝力」を顕在化させる方法をとったのです。

 感謝することは、人間の中枢(脳内)にある幸福ホルモンの「ドーパミン(やる気ホルモン)」「セロトニン(ストレスホルモンと幸福ホルモンのバランスをとり安定させる)」「オキシトシン(愛情ホルモンと呼ばれる)」の分泌を活性化させるともいわれます。このような点からも、感謝力の働きは実に多岐にわたります。働く人のモチベーションを高め、困難なときでさえ、必ず智恵を使って乗り越えていく原動力となるのです。

本記事は、月刊『理念と経営』2024年12月号「企業の成功法則 社長力・管理力・現場力 三位一体論」から抜粋したものです。

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