企業の成功法則 社長力・管理力・現場力 三位一体論

ハイパフォーマーをつくれ

経営幹部の最大の仕事力は、社長の足らざるを補う力です。時には社長を諫め、部下を育て、数値化、チーム化するなど、幹部としての仕事力の発揮がものをいいます。「命の経営」も「企業経営」も、幹部の仕事は複雑な要素を含み、絡んだ糸を解きほぐしていくような作業です。

立派な「命の経営者」の条件とは何か?

 私たちは、どういうポストで仕事をするにせよ、生まれてから死ぬまでの「自分の命」を経営する経営者です。経営者は経営資源の最大活用を絶えず心がけています。

 立派な「命の経営者」の条件は何でしょうか。一つは「人間力」です。創造性、人間として誠実な人柄、いざとなったら断固たる決意でやり抜く力、思いやり、正しい生き方、秩序やルール・規則を守る、知恵を出して問題を解決していく力も求められます。そして、人を欺かない。つまり、人間力の高さはそのまま仕事力につながっています。「命の経営者」は人間力を高める努力を日々行っているのです。

 また、「考える力」も前号でお伝えしました。「思考」を「思う」と「考える」に分けて、考える力の根幹は「善いことを思う」力だと述べました。「善いことを思う」から、「善いことを考える力」がつくのです。善いことを考える習慣が身につくと、「善い計画」「善い行動」「善い結果」に必ずつながります。「考える力」が「仕事力」の根底になければならないのです。

「成果をあげることは一つの習慣である。実践的な能力の積み重ねである。実践的な能力は修得することができる。それは単純である。あきれるほど単純である」とは、ドラッカー博士の言葉です(『経営者の条件』)。

 また、高い成果をつくる人の共通項の一つに、「時間を無駄なく配分するスキル」が挙げられます。有効に時間を使っている人は、「自分の命」をとても大切に経営しているのです。さらに、自分の命を大事に経営している人は、自分の命の中にある「能力」を絶えず磨こうとします。こういう点から、経営がうまくいっている企業は、組織の全員が、「自分の命の経営者」だという自覚が非常に高く、経営には資金が必用ですが、無駄なことに出費せず、自分の能力開発に投資しています。

数字で分析、洞察し推測して戦略を練る

 時間、資金、自分の能力開発をしながら、日々努力を重ねる力を「管理力」というのです。とくに実践に活かす力も管理力の高い人の共通項です。

 マネジャーの仕事力には、業務によってはその現象を数値化し、先を読み取る「先見力」も必要不可欠です。数字の「数」は因果関係を表します。実際の企業経営は表面的にはうまくいっているようで、水面下でいろいろな問題が蠢いているのが常です。早く原因を取り除くのも幹部の「仕事力」です。

 A商品がヒットしてそれなりに粗利益を稼いでいたとしても、その売り上げは三年前から減収に転じ、下げ幅がさらに大きくなっていれば、なんとなく受け止めるのではなく、数字で分析、洞察して推測することが大切です。

 そのまま放っておくとどういう状況になるか、推察して「仮説」を立て、早めの対策を打たなければなりません。そのためにも、具体的に数値化していくことが必要です。

 「命の経営者」は健康を大事にします。まず自分の体を定期健診し、時にはCT(コンピューター断層撮影装置)やMRI(磁気共鳴画像装置)で検査をして、専門ドクターに画像と数値化されたデータで説明を受けます。企業経営も同じです。自社のSWOT分析をして、主力商品の将来動向を数字に基づいて診断していきます。

本記事は、月刊『理念と経営』2024年11月号「企業の成功法則 社長力・管理力・現場力 三位一体論」から抜粋したものです。

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