企業の成功法則 社長力・管理力・現場力 三位一体論
管理力
2024年9月号
職場は「やり抜く力」を 磨く最適な場所
経営幹部に欠かせないものが人間力です。人間力とは公私の「公」の部分を大切にする力のことです。部下指導や、仕事に対する熱意、お客様満足を優先することが、公の部分です。人間力は見えませんが、必ず思考や行動となって現れます。
これからの人事評価は「基礎力」が重要
人事評価の内のコンピテンシーの評価では、表面的なキャリアデザインではなく、「基礎力」の人間力・考える力・仕事力・感謝力の四要素が大切です。
人間は誰もが、生まれたときには、素直さや誠実さ、信頼性を持っていました。われわれはそれらを自分の能力として持ったまま、現在仕事をしているのです。仮に仕事がうまくいっていないとしたら、それは本来持っている人間力を発揮していないだけなのです。
つまり、あなたの輝く人間力の発揮を、固定観念や無意識の考え方の歪みが邪魔しているのです。
多くの人は、それらを修正しないまま自分の強みにできず、技術的な部分にのみ力点を置きがちです。それもとても大切なことですが、その前に、『人間力』という基礎力の強化が必要です。
得意分野もあり、不得意分野もあるでしょう。自分の得意分野を知り、それらを伸ばしていくことが大切です。
ここでいう得意・不得意は、技術や手先の器用さ、人前で上手にプレゼンテーションできる、といった能力のことではありません。
それらは仕事の応用力に属するものです。仕事の基礎である人間力が強化されれば、さらに優れた技術的な能力を発揮させることができるのです。
ラクな「練習」を続けても意味がない
仕事をする上でうまくいく人は、不自然で自分勝手な解釈をしたり、自己中心になったりしません。偽りのない気持ちで、仕事や職場の仲間やお客様に接する力を持ち、正直で相手への思いやりを備えています。人間の中心にある「思いやり」がなぜ必要なのか、明確にその意味を深めて理解することも人間力強化の方法の一つです。
素直になると、人間は本来の自分を大切にするようになります。自分の能力を何のために活用するのか、誰のお役に立ちたいのか、そういう問いかけが無意識に生じてきます。松下幸之助翁は、素直さは人を聡明にすると述べています。
すると、その答えとして、組織のミッション(使命観)が芽生え、やがて仕事への使命感や倫理観、社会的責任という人間力の強化につながっていきます。
ペンシルベニア大学のアンジェラ・ダックワース教授は著書『やり抜く力』の中で、さまざまな視点から述べています。教授は少女の頃から父親に「おまえは天才ではない」と言われ続けてきたのにもかかわらず、努力して学び、研究し続けた結果「マッカーサー賞(天才賞)」を受賞します。その受賞理由が、「人生でなにを成し遂げられるかは、『生まれ持った才能』よりも、『情熱』と『粘り強さ』によって決まる可能性が高い、と突きとめたこと」です。そして、「ラクな『練習』はいくら続けても意味がない」と断言しています。
本記事は、月刊『理念と経営』2024年9月号「企業の成功法則 社長力・管理力・現場力 三位一体論」から抜粋したものです。
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