企業の成功法則 社長力・管理力・現場力 三位一体論

ⅰPS細胞が世界で日の目を見る日

かつて日本は技術力で世界を牽引していました。日本人には明確な「ビジョン」があったからです。そのビジョン実現に向けて「ワークハード」で自らの人生を懸けて闘ったのです。企業の成長・発展は経営幹部次第です。管理力とは献身を惜しまぬ力のことです。

九九%の汗と一%のひらめき

 トーマス・エジソンは発明王として、いまだに世界に大きな影響を与えています。何事にも関心や興味を示し、何かひらめくとすぐにメモを取りました。その記録は三五〇〇冊にも及ぶそうです。あまりにも次々と発明していくエジソンに、世界から多くの質問状が届いたようです。質問は「どうすれば次々に発明することができるのか」という内容です。

 エジソンは一人ひとりに返信するより自分なりの答えをまとめ、第一に「多くの人に貢献したいという気持ちを抱くこと、そのために自分に何ができるかを考えること」という主旨のことを書いて送ったそうです。ⅰPS細胞の研究でノーベル賞を受賞した山中伸弥先生も、同じお考えです。

 特に「一%のひらめき」には、日頃の「九九%の努力」が必要です。今の日本で「努力の尊さ」を述べると、「あの人は昭和世代⁉」などと揶揄されがちです。とかく安易な心理学やビジネス書が出て、インスタントで成功できるような内容のものが多くなっています。九九%の努力に裏打ちされていない「ひらめき」では、成功はおぼつきません。

 世界の最先端をいく「ⅰPS細胞」は、山中伸弥先生の「V(ビジョン)・W(ワークハード)」のおかげで花開いたのです。

 「汗のないひらめき」が一時的に起きたとしても、それらは虚妄に近い。ご自分も次のように書かれています。「名医でも治せない病気やケガがあることを目の当たりにする日々のなか、父をC型肝炎で亡くしたのです。それがきっかけとなり、難病で苦しむ患者さんのために新しい治療法を見つけたいと医師をやめ、基礎医学に進路変更。本格的に学ぶため、グラッドストーン研究所に留学しました」と。

恩師マーレー先生の言葉

 ある日研究所所長であったロバート・マーレー氏が、若い研究者を集めて次のように言われたそうです。
「研究者として成功するための秘訣を教えてあげよう。それはV・Wだ」

 Vは明確なビジョンを持つこと、Wはワークハードです。つまり「ビジョンを実現するために一生懸命に努力をする」という意味です。

 それ以来、山中伸弥先生はこの言葉を生涯のモットーにされています。念いの深い人は言葉をとても大切にします。山中伸弥先生は単に言葉に感銘を受けただけではなく、実際に他の研究者の三倍の努力をして学びました。ビジョンがあれば、人は厳しい状況になってもワークハードに耐えられるからです。

本記事は、月刊『理念と経営』2024年7月号「企業の成功法則 社長力・管理力・現場力 三位一体論」から抜粋したものです。

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