企業の成功法則 社長力・管理力・現場力 三位一体論

明日の一万俵、百万俵をつくれ

国の政治にも企業経営にも共通することがあります。人を得ない国は無謀な争いを起こし、人を得ない企業はどれだけ補助金を与えても自立しません。小林虎三郎は、人物がおりさえしたら、こんな痛ましいことは起こらないと述べています。

人物に教育投資をしていなかったツケ

 ロシアによるウクライナ侵攻、イスラエルとイスラム組織ハマスの衝突など、世界中がきな臭い状況です。国際法も何もあったものではなく、国連さえ機能しない状態が続いています。どの国にも真の指導者はいないのでしょう。貧しさ、戦争、飢餓、災害のおおもとは何かを、小林虎三郎は述べています。

 「もっと深い根があるのだ。それは何かと申すと、日本人同士、鉄砲の打ち合いをしたことだ。やれ薩摩の、長州の、長岡のなどと、つまらぬいがみ合いをして、民を塗炭の苦しみにおとし入れたことだ。こんなおろかなことはさせたくないと思って、おれは病中、どれだけ説いたかわからない」「どうしてこんなおろかなことをやったのか。つまりは、人がおらなかったからだ。人物がおりさえしたら、こんな痛ましいことは起こりはしなかったのだ」

 今の世界の政治家や経営者や幹部に警告を発しているような言葉です。マネジメントの観点からみて「人」を得なければ、おそらく組織の決め事も〝木を見て森を見ず〟の状態のはずです。つまり、米百俵を安易に食べてしまい、パーツ、パーツでしか判断できない人が多くなっているのです。せっかくの有意の人物に教育投資をしていなかったことが、バラバラ集団を生み出し、組織機能がまったく働かない状態にしています。




ビジョンアプローチが求められている

 真の管理力とは、社長と共にビジョンを追い求める力のことです。そのためにも、社長はビジョンアプローチという思考法が必要なのです。小林虎三郎は、北越戦争後このままではいけないという危機感をもち、①長岡藩の理想像を描き、②学問の重要性という明確なビジョンを示し、③使命を明らかにして、④そのビジョンから現実の問題をどう解決するかのアプローチを考えていたのです。この思考法をバックキャスティングといいます。虎三郎はこの四つの思考手順で教育の大切さを説いたのです。

 しかし、管理力とは、トップの描くビジョン実現に具体的に努力する力のことです。当然、自分の意見や考えが必要で、単なるイエスマンでは真の管理力とはいえません。社長に諫言する力や、納得させるだけの力も大事です。もちろん、小林虎三郎の住まいに押しかけて、刀を畳に突き刺してNOというようなやり方ではありません。「理由なき反発」「面従腹背」「同じて和せず」では、組織は機能しません。

 管理力とは、①組織のビジョンを主体的に考え、②過去や現在の課題や問題を直視・分析し、③問題解決に焦点を絞って物事に挑むことです。④それらの多様な情報を集めて「事を成す」考えが必要なのです。この発想法をフォアキャスティングといいます。

本記事は、月刊『理念と経営』2024年2月号「企業の成功法則 社長力・管理力・現場力 三位一体論」から抜粋したものです。

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