企業の成功法則 社長力・管理力・現場力 三位一体論

後継者のクリエイティブ・ペアたれ

管理力とは自社の繁栄に貢献し、自らが担当部署の社長という気概を持つことです。すると、必然的にマネジメント感覚が身につきます。知識があっても「自己成長意欲」「貢献意欲」がなければ、表面的なスキルしか身につかず、顧客、組織、部下に貢献できません。

自己成長意欲と貢献意欲の因果関係

 自己成長意欲が高い人は必ず「成果」をつくり出します。成果に隠されているものはその人の「貢献意欲」です。お客様のお困りごとに真剣に取り組み、問題解決に貢献した証しとして、お客様から「成果」を与えられるものです。

 株式会社冒険王の堀岡会長が、自分の後継者として三代目に現社長を選んだのは、①自己成長欲求が強い、②自分をより成長させてお客様や働く人や社会に貢献したいという意欲が高いことの二つに集約されます。

 決め手は、「社員さんが輝いている会社にしたい」という意欲です。企業経営にとって人材育成は栄枯盛衰を決定します。部下指導は企業を永続させるための重要な指導者の条件です。

 社長力・管理力の第一条件は自己成長欲求の強さです。まず自らが成長した分、現場の「人づくり」が功を奏して「社長力・管理力・現場力の三位一体」の企業文化になっていきます。

 いくら「貢献したい」という気持ちがあっても、お客様や会社、部下に貢献するには、お客様が満足するような経営革新を具体的に形にしていく能力が必要です。会社に貢献したいという気持ちがあっても、それだけのスキルやノウハウを身につけて「範」を示さなければ空理空論です。部下を育成するには時間もかかります。部下の指導育成スキルも必要です。

 まさに、自己成長意欲と貢献意欲の因果関係の両面を幹部は求められているのです。優しさだけでも厳しさだけでも部下は育ちません。「時」と「処」と部下の「地位(ポスト)」に応じた愛情と指導スキルが求められます。


対話や知的格闘で新しいものを創造

 経営幹部の役割は自社の後継者を応援し、経験が少ない後継者に対して、積極的に自分の経験談を伝えることです。ベテラン幹部からみれば後継者の経験不足はやむを得ないのです。

 ただ、後継者候補は経験が少ない分、革新性を秘めています。変化が次々に起こる不確実な時代には、新しい柔軟な考え方が不可欠です。それを有効活用するのも管理力です。

 一橋大学の名誉教授で、世界的な知識創造理論「SECIモデル」を生み出した野中郁次郎先生は、最近盛んに「クリエイティブ・ペア」という言葉を使われます。私の主宰する「新しい時代の社長学」の講座でも、「本田宗一郎と藤沢武夫」の事例や、「井深大と盛田昭夫」の事例をお話しいただきました。

 自分一人で考えても新しいものを創造するのは難しい。いきなり組織の複数で議論しても時間がかかる。知的な異なる意見や考えを持つ人とペアになり、本音で対話や知的格闘をしながら弁証法的にまったく新しいものを創造していくのがクリエイティブ・ペアです。

 管理力とは、社長や部下、後継者のクリエイティブ・ペアになる力でもあります。幹部は組織のど真ん中にいる立場です。

本記事は、月刊『理念と経営』2023年12月号「企業の成功法則 社長力・管理力・現場力 三位一体論」から抜粋したものです。

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