企業の成功法則 社長力・管理力・現場力 三位一体論

会社は問題を克服して発展する

㈱まなぶの中川英哉事業本部長は、新型コロナウイルスの感染拡大で窮地に立たされた八木由美社長をサポートしました。次々に打ち出される社長方針を具体化するのが管理力です。八木社長の理想とする自律型組織の一翼を担っています。

一人何役もこなす事業本部長

 中小企業は大手企業のように有能な人材はなかなか集まりません。また、幹部といえどもスペシャルなスキルを持ちながら、ゼネラリストとして才能を発揮する人も少ないはずです。

 しかし、本来、中小企業には中小企業の強みがあるのです。その強みを発揮しようとしないところに、成長しない要因があります。

 中川事業本部長は入社七年目ですが、何でも担当しやりこなしています。組織運営、新規事業の開発、採用人事、全体の統括を行うとともに、放課後等デイサービスでは施設長、児童発達支援管理責任者として施設運営、児童と保護者支援、manabu高等学院のセンター長として学校運営、生徒募集、生徒と保護者対応を担っています。

 つまり、事業本部長が直接手を下さなくとも、現場からの問いかけや問題解決にテキパキと意思決定しているのです。ためらっていたら業務は停滞してマネジメントなき経営に陥ります。

 日々どの部署にはどのような状況変化があるかを俯瞰し、全体を見ながら微細な部分を見つめマネジメントする力を管理力と言うのです。

 そのためにも八木社長との情報交換を絶えずしているのです。また、現場情報に敏感でなければ中小企業のマネジメントは務まりません。八木社長と、現場を守る鈴木明美スーパーバイザーとの情報交換から、おおよその部分の状態を把握し、八木社長の考えを聞きながら全体像をつかみ、変化に対して即座の対応ができる準備を整えるのです。

 パートさんを含めて六一名の所帯をまとめていくだけの力を管理力と言います。私が担当するマネジメント講座では、「理論と実践する現場には大きな乖離がある」と伝えています。だからこそ、幹部自身が動きながら、「理論と実務の乖離を縮める実行力」を管理力と言うのです。

 実践無き理論の空虚さを強調したうえで、「管理力は実践力であり、理屈で覚えるだけでなく、やってみて体験を通して理論を覚えなさい」と伝えています。クリエイティブ・ペアに不可欠な条件です。


人間の可能性を示す最高の事例

 中川事業本部長は、実家が自営業でした。大学卒業後、二代目として実家に入ります。しかし、その会社を潰してしまいます。当時は売り上げに追われる毎日で、学ぶ気持ちさえ起きない状況だったようです。一七年にわたるつらい日々を清算し、廃業されたのです。次男が生まれますが、一年間職もなく過ごします。

 しかし、「禍を転じて福となす」の格言通り、①知識もない、②資格もない、③経験もない、④自信もないと、明確に「自己認知(気づき)」したのです。「自分がこういう結果をつくり出しているのだ」と気づき、「死ぬときに後悔のない生き方をしよう」と決意して、㈱まなぶに入社します。

 このことに管理者(マネジャー)は気づく必要があります。決意する前の中川さんも、決意してからの中川さんもまったく同一の人間です。しかし、心の持ち方、考え方、決意の三つが加わると、どれだけ人間は潜在能力を発揮できるのか、最高の事例として学ぶべきです。

本記事は、月刊『理念と経営』2023年11月号「企業の成功法則 社長力・管理力・現場力 三位一体論」から抜粋したものです。

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