企業の成功法則 社長力・管理力・現場力 三位一体論

やり抜いた人生に悔いはない

トップは志を立て戦略的な意思決定を下し、経営幹部は明確なマネジメントを実行する立場です。トップの決断を基に「WHY・WHAT・HOW」で形にし、現場の一人ひとりのモチベーションを高め、「五つの成功条件」を活用しながらPDCAを実践していくのです。

情報を知恵によって形にする

 五つの成功条件の一つは「情報収集力」です。情報を敏感に吸収し、それを複合的に組み合せる力が管理力です。アップル創業者のスティーブ・ジョブズは、情報の重要さに気づいていたからこそスマートフォンに行き着いたのです。

 管理力とは、顧客のお困り事や現場からの声、厳しい外部環境の変化に対し、自社はどのように経営のかじを切るか、その知恵を生み出す力のことです。これを私は「発展的な思考の展開力」と呼び、情報を知恵によって形にする力だと思っています。すなわち、情報を①感じ観察する、②深く考える、③気づくまで探求する、④他の情報と組み合わせる、⑤正しい答えが出るまで考える、⑥発展的な思考を展開し続ける。⑦結果として、成果をつくる糸口にたどりつく―。

 もちろん、簡単ではありません。どんなに情報を多く持っていても、「考える」ことをしなければ何も変わりません。われわれの発展的な判断や思考などの知的活動は、人間の持つ情報処理システムによってできています。人間には誰にもこの情報処理システムが全身に付与されているので、必ず解決の手がかりは生まれてきます。

 情報を収集する力は経営幹部として必須です。わからないときは上司に連絡し、部下や友人に相談して、素直に確認をすればよいだけのことです。まさに『論語』の言葉「下問を恥じず」(目下の者へもへり下って尋ねることを恥じない)です。

知恵だけでなく経験が必要不可欠

 とくに複雑なデジタル社会になって、何が正しい情報かニセ情報かの判断がつきにくくなっています。しかし、一つの情報を見逃さずに、二つ目の条件である「発展的な思考の展開力」を駆使して「気づきの束(知恵)」をつくる必要があります。気づきの束をつくるには、知識を豊富に持つだけでなく、経験が必要不可欠です。そして、判断をする際に、その情報、考え、判断は、自社の理念や目的や使命に沿っているかどうかが重要になるのです。

 うまくいっている幹部は、問題の難易度に応じて連絡し、相談し、確認し合っています。三つ目の条件「理念・目的に沿う力」で「WHY・WHAT・HOW(なぜ、何を、どのようにして)達成するか」の思考習慣が大事です。

 経営幹部として何に「好奇心」を持っているかも重要です。これが四つ目の条件です。一つの事例は、将棋の七冠王である藤井聡太さんです。天性に恵まれているとしても、小さな頃から将棋に対する好奇心や関心を人の数倍持っています。強くなるためにどうすればいいか、絶えず将棋盤の前でトレーニングを重ねることができたのは好奇心があり、未来に夢を描いていたからです。仕事も然りで、好奇心・関心がないことを人は考えないのです。

本記事は、月刊『理念と経営』2023年7月号「企業の成功法則 社長力・管理力・現場力 三位一体論」から抜粋したものです。

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