企業の成功法則 社長力・管理力・現場力 三位一体論

やり抜く力とやってみせる力

人が主役のマネジメントとは「人」を生かす経営のことです。単に「生かす」のではなく自らの天分を可能な限り「生かす」ことが求められます。それを引き出すには、それぞれの知恵をアウトプットする場を創ることです。

重要なのは一貫した やり抜く姿勢や態度

 現在の日本は多くの問題や課題を抱えています。企業経営において重要なのは、トップマネジメントの一貫した意思決定です。時代の変化に敏感に対応する経営姿勢がリーダーには必要です。

 それを支えるのがミドルマネジメントのマネジャーです。変化対応に対する明確で一貫した目標設定と経営計画が必要になります。管理力とは、その目標に社員さんたちを向かわせる一貫した指示系統をマネジメントしたり、人を育てる工夫をすることです。また、現場の声に真摯に耳を傾ける態度も求められます。私は「グロースカレッジ」という教育システムや、社長・幹部のためのワークショップで、直接「経営幹部は戦略参謀」と語りかけています。

 経営陣の戦略的な意思決定を形にする力が管理力なのです。つまり、目標や経営計画を作る際の「結果の想定の明確化・あるべき姿」をイメージする力です。私が行っている「人が主役のマネジメント」とは、部下に対する明確性と迅速性です。もちろん、時代の激変に対応するには「やり抜く力」が試されます。

 小説『福沢諭吉』を書かれた伝記作家の小島直記先生は、「世の中の事物で簡単に手に入るものは貴重でなく、得るものが困難なものほど価値が高い」と、その作品でわれわれに気づかせてくれます。

 『やり抜く力 GRIT』の著者である、アンジェラ・ダックワース教授も、挫折した後の継続が極めて重要だと述べています。どんな人生でも順風満帆というわけにはいきません。とくに経営幹部の皆さんは、困難の多少大小の別はあっても、必ず困難な場面に遭遇し、逆境に立ち向かう心の姿勢が試されます。そのとき、発展的思考を展開する力と、その源泉である「可能思考能力」が必要なのです。

「創造する意欲」が困難を打ち破る

 私は、困難を否定的に解釈するから幸福感が消え、より負担が増すように感じます。ダックワース教授は研究のために、多くのスペシャリストに成功の要因についてインタビュー調査して、次のような答えを引き出しています。

 「アーティストの場合、もっとも重要なのは『創造する意欲』だと答えた。『ものづくりが好きなんです。なぜかわかりませんが、とにかく好きなんです』。いっぽうアスリートたちは、『勝利のスリル』が最高の刺激になると答えた。『勝負に強い選手は、他人との真っ向勝負が大好きですね。ものすごく負けず嫌いなんですよ』」

 「創造する意欲」とは可能思考能力と発展的な思考の展開力です。分野によってそれぞれ特徴があるようですが、私の知る限りでも、負けず嫌いの人が「やり抜く力」を強く持っているようです。

 東京五輪の女子ボクシング金メダリスト、入江聖奈選手は、私の友人がコーチとして育てあげました。入江選手は小学校三年生から二二歳の今日まで、一日も欠かさずパターントレーニングを行い続けているそうです。毎日欠かさずに練習を行い習慣化したのです。学校の試験があろうと、体調が悪かろうと、黙々とトレーニングし続けて、世界チャンピオンになったのです。

本記事は、月刊『理念と経営』2023年5月号「企業の成功法則 社長力・管理力・現場力 三位一体論」から抜粋したものです。

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