企業の成功法則 社長力・管理力・現場力 三位一体論

「人が主役の経営」の鍵は 管理力で決まる

中小企業にとって試練の年になるかもしれません。しかし、こういう時代こそ、本来の管理力が必要です。どうすれば知の探索と知の深化を為すことができるか。自社の問題に立ち向かうには、いかなる変容が必要か。変容の鍵は経営幹部にあります。

従来のやり方ではうまくいかない

 コロナの渦中には顕在化しなかった諸々の問題が企業内で発生しています。①意思疎通の不具合、②組織力の衰退、③人心の乱れ、④義務と権利の逆転などが表面化し、従来のマネジメントではうまくいかないケースが、中小企業だけではなく中堅企業でも顕在化しています。

 だからこそ人材育成が、この危機を乗り越えるために必要です。それゆえに問題発見や問題解決力、的確な予測というマネジメントのできる人材が必要なのです。

 第一にタスク機能を強化しなければなりません。これを私は「縦軸の機能」と呼んでいます。この縦軸の目的は顧客満足の最大化と利益の最大化です。通常、ピラミッド型組織は「階層」と考えられていますが、ピラミッドは階層を表すのではなく、「機能の重要性」を意味するものです。

 デジタル社会といわれて久しく時が経ちました。管理力とは、社長と経営幹部がお互いに「自社の問題の本質」を共有し合う力のことです。コロナ後を見据えて、動画学習ツール「グロースカレッジ」を中小企業の活性化の道具として開発しました。採用、教育、リテンション(保持・維持)に活用し、来るべき人材不足に耐え得る準備をすべきだと思います。

 熊本でコンビニエンスストアを四店舗経営する田上大樹社長は、グロースカレッジ導入から、営業利益率が低い業界にあっても六%を維持しています。理由はアルバイトやパートさんの定着を高めることに成功し、求人費を三〇%削減。新人の教育の時間を「教える側・学ぶ側」二人分を削減しています。

機能性と関係性の両面に気を配る

 田上社長は、中小企業の活性化の身近な道具としてグロースカレッジに着目したのです。グロースカレッジは、リアル研修の強みを活かして、実践を重んじる教育カリキュラムの観点から、幹部育成としての「自己成長のための成果をつくる能力向上目標」や、社内のコミュニケーションを円滑にする「クロス・メンター制度」、数字に強い会社にするための「財務講座」など、顧客満足の最大化による利益の最大化を 目的にしています。

 それだけに、トップマネジメントの月次方針や、縦軸の意思決定コミュニケーションと、横軸の関係性のコミュニケーション強化、そのための提案制度を含めて、われわれが活用しているメソッドも提供しています。

 特に経営幹部の「主体性」を育み「幹部としての実務能力」を目的にした制度など、デジタル機器の本格的活用で、管理力の強化を目指しています。「ジョブ・ナレ」は仕事能力を高めるナレッジ(知識)取得が目的ですが、幹部のモデル(お手本)番組は、視聴価値の高い内容です。「ジョブ・ナビ」は自社の仕事の生産性を高め、経営理念の浸透を図るため、自社で制作するものです。技術指導やサポートセンターでのアドバイスなど、かなり多岐にわたっています。

 理由は「社長力」で述べたように、二〇一五年から人材の必要スキルが大きく変わったからです。私は「今後のビジネス」を見据えた上での、世界経済フォーラム総会(ダボス会議)における提案だと思います。

 経済産業省も学ばない国家「日本」に対して危機感を持っているのだと思います。会社が利益を出せなくなったら、国家の財政も破綻しかねないのです。

本記事は、月刊『理念と経営』2023年4月号「企業の成功法則 社長力・管理力・現場力 三位一体論」から抜粋したものです。

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