企業の成功法則 社長力・管理力・現場力 三位一体論
管理力
2023年2月号
創意工夫と経営への参画意識を育てよう

「人が主役のマネジメント」の鍵か ぎを握るのは、ミドルマネジメントの力です。トップマネジメントの戦略的意思決定、ミドルマネジメントの管理的意思決定、現場の方々の業務的な意思決定のつながりを組織化する力を管理力といいます。
縦横の情報の一元化をマネジメントする
「管理階層」は悪しきことのようなイメージがあります。しかし、人が主役のマネジメントでは、階層はマネジメントの機能を示すものと定義しています。例えば、縦のコミュニケーションは、トップの戦略的意思決定が現場まで浸透していくために、ミドルの管理的な意思決定機能が必要なのです。
業績が悪かったり、利益が出にくかったりするのは、「その人本来の持つ能力を開発していない」組織の遅れです。管理力が機能していないことを示しています。人を生かすことができていないのです。①指導技術の拙つたなさ、②教育制度の不備、③顧客や部下や上司に対する無関心、④経営幹部自身の学習意欲の問題、⑤報告・連絡・相談・確認の不徹底、⑥それらによる情報封鎖です。
ミドルマネジメントの重要な役割は、「人が主役のマネジメント」の実現です。「社長力・管理力・現場力三位一体経営」の中心には幹部が重要な位置にいるという認識が大切です。ミドルマネジメントは顧客と自社を結びつける力、社長に現場の声を届ける力、社長や組織の意思決定を、自分の認識にまで高める力です。
人が主役のマネジメントとは、すべての経営資源を統合するのはあくまでも人であり、その仕組だという意味です。デジタルは不可欠ですが、あくまでも道具であり、道具をうまく使いこなす時代です。振り回されるのではなく、すべての道具の活用能力も管理力の重要業績評価指標(KPI)の一つです。それだけに意思決定のスピードが速くなるのです。
「陣屋や 」の女将宮﨑さんの成功要因
人が主役のマネジメントを実現するには、トップの意思決定をワンウエーで行うのではなく、現場からの声をミドルマネジメントが引き出し、ミドルの管理的意思決定をトップマネジメントにコミュニケートする、柔軟な縦の組織コミュニケーションが大切なのです。
われわれはそれをITで一元管理し、動画システムで仕組化しています。特に中堅・中小企業が注意すべきは、単なるデジタル化ではコスト高になるという点です。ソフトの購入、自社システムの開発、それを運用する人財、さらにそうした情報を活用し、かけたコストのリターンも考慮すべきです。
さらに重要なのは、「①見える化、②記憶化、③モデル化」の三つの機能が中堅・中小企業には必要だということです。システムが勝手に機能して、利益がどんどん増えていくというのは、デジタルに対する〝妄想〟です。活用の段階では生みの苦しみがあるのです。
小誌(2017年12月号)に登場いただいた「陣屋」という旅館は、業績悪化の状態を引き継ぎながら、勤務体制、集客、コスト削減、営業日を週四日にするなど、死に物狂いでシステム開発に挑まれた企業です。
当初、女将の宮﨑知子 さんは、ミドルマネジメントの任務を果たしながら、一から学んでほぼ完成途上にありますが、成功要因は、人が主役のマネジメントを貫いたことです。
本記事は、月刊『理念と経営』2023年2月号「企業の成功法則 社長力・管理力・現場力 三位一体論」から抜粋したものです。
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