企業の成功法則 社長力・管理力・現場力 三位一体論

野球をやるためにアメリカに来た!

大谷翔平選手は一〇四年ぶりにベーブ・ルースに並び、二桁勝利と二桁本塁打を記録し、日本選手初の二年連続三〇号の逆転ホームランでヤンキースを打ち破りました。管理力とは守備と攻撃の両面の任務を果たすことです。

幹部に持ってほしい「ナンバー2の美学」

 管理力とは社長の足らざるを補うことです。その任務に対する高い意識が守備力を高めます。社長の祈りは「足らざる部分を補ってほしい」の一言です。社長が投手であれば、経営幹部は捕手(=補手)の立場です。
 かつてヤクルトを日本一にした名監督の野村克也氏は、「キャッチャーは、単なる投球を捕る役割だけではなく、投手を補う気配りと力がいる」という趣旨の発言をされていました。それはご自分がキャッチャーとしてミットを持ち実践から得た知恵です。
 投球を捕るだけではなく、の打者の事前情報を掴んで配球を戦略的に考え投手を補い、②チーム全体の守備位置を打者の打撃方向に微妙にシフトさせて万全の防御を考え、③常日頃の体験を通して情報の重要性を認識し、「ID野球」を見事に構築したのです。
 そうやって投手(社長)を勝利投手へと導き、補佐し、キャッチャー時代から後輩選手にアドバイスをして、監督になってからは多くの戦力外通告を受けた選手たちを"再生"していきました。この二つの側面こそがマネジメント能力(管理力)です。
 社長は最後の意思決定はしますが、本来は「ビジョナリー」(先見の明のある人)としての位置づけで、あなたのマネジメント能力の発揮を期待しているのです。また、一番やりがいもあります。
 私は講演や幹部のワークショップでも、経営幹部に「ナンバー2の美学」を持つことを勧めています。組織を自主的にマネジメントできる醚醐味を体験すれば、成長の機会、部下を育てる指導育成の機会、貢献の機会、組織を動かす歓びなど、数多くの希望の道が生じてきます。大谷翔平選手は捕手ではありませんが、チーム仲間に歓びを与え、球団に貢献し、監督を救っているのです。

自分の強みを最大限活かそう

 米メジャーリーグにおける日本選手のシーズン三〇本塁打は、松井秀喜氏一人だけでした。そこに二〇二一年に大谷翔平選手が四六号本塁打で、一〇〇打点に仲間入りして、今年八月三一日(現地時間)には逆転ホームラン三〇号を打ち、二年連続三〇号を記録しました。
 経営幹部は守備役として、社長の補佐役と部下の育成の両方の能力を磨くことをお勧めしました。決して「世界を沸かす大谷翔
平になれ!」と言っているのではなく、あなたの潜在能力の開発を促しているのです。計算式でいえば、の顕在能力(一〇)+②潜在能力(九〇)=③真の能力(一〇〇)です。
つまり、大谷翔平選手もわれわれも真の能力「一〇〇」は同じなのです。
 大谷翔平選手の能力を計算すると、③真の能力(一〇〇)=①発揮能力(三〇)+②潜在能力(七〇)になり、異なるのは潜在能力(九〇)を発揮能力に変えているだけのことです。
 彼は二〇一八年に右肘の故障で悩み、非常に際どい手術を受けました。失敗したら大きな夢を失うかもしれないというとき、こう言っています。
「(手術を)しないならしないに越したことはないと思いますし、それで自分の一〇〇%が出せるならやらないほうが良いと思うんですけど、そうではないと思った」「僕自身が楽しく、フィールドでプレーしたい気持ちが一番。『楽しい』というのは、ウキウキとかへラヘラしているというわけではありません」
 人間は困難や逆境があっても能力開発した分、挑むことができます。企業は判断の連続ですが、その試練に耐える力が管理力です。

本記事は、月刊『理念と経営』2022年11月号「企業の成功法則 社長力・管理力・現場力 三位一体論」から抜粋したものです。

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