企業の成功法則 社長力・管理力・現場力 三位一体論

後ろ向きの発想からは「やり抜く力」は生まれない

可能思考能力は自らが求めなければ身につきません。あらゆる面で必要な力です。モデリング・メソッドを通じた予習・体験・復習と「ジョブ・ナレ」(仕事の基本知識)「ジョブ・ナビ」(仕事の習熟)の最大活用が、可能思考には有効です。

可能思考能力が自己成長を促す

 可能思考能力の高い人は、物事を肯定的に解釈する力が身についています。肯定的な解釈能力は、逆境の時にはプラスの因子が働いて前向きな発想を生み出します。否定的に解釈する人は、その因子が後ろ向きの発想の引き金になります。
 後ろ向きの発想からは、積極的な行動も建設的な生き方も生まれてきません。前向きな発想が積極的な素早い行動を生み出し、成果をつくります。スタンフォード大学の心理学者だった故アルバート・バンデューラ博士が提唱した、達成体験から生
まれる「自己効力感」です。自己効力感は未来を推測する能力を持ちます。それが真の自信につながり、試練を引き受ける決意・やり抜く力の源泉になるのです。
 可能思考能力はTPO(時·場所.場る力があれば、時を見据えた上で「これは合)に深く関連しています。「時」を見分け何とかして解決しよう」と必死に努力します。逆に、時によっては松下幸之助翁のように「どうにかなる」という確信のもと、「時を待つ」忍耐力が生まれてきます。つまり、道が開けるまで待つ心の余裕が生まれるのです。
 『中庸』という古典に、「時中」(時に中る)とあるように、ベストなタイミングで事を起こせるようになります。その勘所を私は「可能思考能力」と呼び、「可能思考メソッド」として三五年間ワークショップを行ってきました。
 メソッドとは方法のことです。教師から教えられた答えを持つのではなく、「自分で考えて自分の答えを持つ」ことです。可能思考能力は四つのファクター(要素、要因)を生み出します。人間力・考える力・仕事力・感謝力です。

激変する環境では慌てるな、急げ」

 今のような外部環境が激変しているときは「慌てないが急ぐ」ことが求められます。「慌てる気食はもらいが少ない」という言葉があるように、慌てると、時も場所も状況も残えられなくなります。松下幸之助翁の名言中の名言「主座を保つ」こと、つまり主体性を持つことができずに闇雲に心が浮足立ってしまう状態では事は成りません。
 「急ぐ」とは、たとえ緊急を要することでも、冷静に明確なゴールと目的を持ちつつ迅速に決断、行動し、きちんとPDCAサイクルを回すという意味です。『中庸』では「的に中る」という意味で「的中」といいます。さらに的のど真ん中に中ることを
「正中」といいます。
 また、可能思考メソッドは、気づきの能力を涵養するものです。気づきは三つの段階を経て生まれます。
第一段階はエクスペリエンス(体験)です。単なる理論ではなく、体験学習が重要なのです。通常は、体験していろいろなことに気づきますが、高次の気づきには、第二段階のリフレクション(振り返り・内省・反省)を経なければなりません。体験イコール気づきではないのです。
 体験を振り返って、内省し反省して、ようやく真の「気づき」にたどりつきます。この二つのプロセスを経て、第三段階のアウェアネス(自己認知・自己認識・気づき)に行きつきます。自己への気づき、妨げる要因、経営革新など、新たな発見が生
まれる瞬間は「可能思考が働いた時」なのです。

本記事は、月刊『理念と経営』2022年9月号「企業の成功法則 社長力・管理力・現場力 三位一体論」から抜粋したものです。

成功事例集の事例が豊富に掲載
詳しく読みたい方はこちら

詳細・購読はこちら

SNSでシェアする

無料メールマガジン

メールアドレスを登録していただくと、
定期的にメルマガ『理念と経営News』を配信いたします。

お問い合わせ

購読に関するお問い合わせなど、
お気軽にご連絡ください。