企業の成功法則 社長力・管理力・現場力 三位一体論

"イエスマン"は 単なる保身にすぎない

ナンバー2には管理力だけではなく人間力が必要です。指導者の立場よりも難しい面がありますが、トップを支え部下を育成する「場」には最高のやりがいがあります」という妙味は、人間としての歓びなのです。

ナンバー2は「誠実さ」で闘う

 会社のトップは社長ですが、あくまでも一人ひとりの個人が集まった組織です。個人でできないことを組織として行い、社会に貢献することが目的です。ですから、会社で一番偉いのは「会社そのもの」「組織そのもの」です。社長も、ナンバー2も、経営幹部も、組織の目的・使命を果たすために存在します。
 その役目や任務を自覚して、顧客満足や社会への貢献という大きな目的を実現する義務があります。そのための権限が与えられているのです。仮に、社長が組織とは異なるほうを向いているとしたら、ナンバー2は切腹覚悟で意見を言うべきです。それが美学です。
 松下幸之助翁は「会社は社会の公器」と述べました。社長の個人的な所有物ではなく、道徳的な観点でいえば、社長が一番自分を戒めなければいけません。トップが私物化した組織は無機能組織です。"イエスマン"は単なる保身にすぎません。
 社長力でも述べましたが、インテックスの福井英二専務は金山昇司社長に尽くしました。しかし、イエスマンになったことは一度もありません。普通、同級生同士が社長と専務になると、無意識に「パワーストラグル」が起きます。つまり自分のほうが正しいという、心理的な争いになるのです。原因の一つは、社長による「会社の私物化」です。本業に精を出さず、遊行にふけるなどは危うい兆しです。また、専務が同級生であることに甘え、わがままな「私(自分)優先主義」に陥ります。社長と専務の双方に「組織の目的の実現」という、公の精神が欠如したときに起きるのです。

「人に三必窮あり」も管理力の大事な要素

 社長力で「人に三不祥あり」という荀子の言葉を紹介しました。社長や専務に三つの不祥が存在すると、必ず大きな不祥事が起きます。
 一つ目は、目上の意見や考え方を肯定的に受け取らないで、心の中で感情的に否定している状態です。こういう場合は経営に不祥事が起きます。組織や会社より「私」を優先させる社風をつくります。
 二つ目は、自分が目下である、経験が浅い、地位が低い立場であることを忘れて、大切な人の重要な意見を受け入れない、あるいは聴く耳を持たない、という場合も不祥事につながります。
 三つ目は、自らのスキルや人間力、成果に課題があるのにもかかわらず、仕事ができて人間的に向上心も強く、経営に前向きな人を肯定的に受けいれられない場合です。すると必ず不祥事が起きて組織の寿命は短くなり、本人の人生もうまくいかなくなります。
 また、同じ荀子の言葉の「人に三必窮あり」も、管理力を身につける上で大事な要素です。
 「上と為りては則ち下を愛すること能わず、下と為りては則ち好んで其の上を非るは、是れ人の一必窮なり」
 上司になりながら、部下を愛することをしないで、好んで上司の悪口を言うのは、後々必ず窮する状態を招くという意味です。インテックスの福井専務は部下を愛し、慈しみ、導き、金山社長を心から尊敬していました。管理者の基本です。
を選るは、是れ人の二必窮なり」
「郷(向)えば則ち若わず、背けば則ちこれを謾るは、是れ人の二必窮なり」
 これは、対面するときに従順でなく、背を向ければ侮るというのは、人の道に外れるため、将来必ず窮するという意味です。福井専務は寡黙でありながら、誠実に社長や部下に接し、部下育成にも尽くしました。

本記事は、月刊『理念と経営』2022年4月号「企業の成功法則 社長力・管理力・現場力 三位一体論」から抜粋したものです。

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