企業の成功法則 社長力・管理力・現場力 三位一体論

事業成功の要諦はスピード・正確性・実行性・正直性

 人間はわずか一日一%の小さな取り組み方の違いで差が開いていきます。朝起きて今日の一日を、昨日よりも一%だけ良い状態にしていく努力を積み重ねると、三六五日後は圧倒的な差になります。
 どんな人にも窮地は常にある
 「経営の神様」と、今でも尊敬の対象になっておられるのが松下幸之助翁です。「窮地常にある。それを乗り越えていく中に、智慧の輝きが出てくるのです」(木野親之「松下幸之助に学ぶ指導者の三六五日』コスモ教育出版)と述べておられます。つまり、窮地に追い込まれたときに、日頃の努力の積み重ねが知恵として生じてくるのです。蒔かぬ種はいつまでも生えてきません。
 ところが、少しだけ手を抜いて怠けた分は、きちんと辻褄が合うように、知恵は生まれてきません。松下幸之助翁は、人生に窮地があるのは当然だという前提で述べられています。
 現実を無視した理想論は、窮地に立たされたとき、役に立ちません。世事に疎く、空理空論、現実回避など、無責任な生き方が身についた人は、幻想の世界でなんとかなると思っているのです。
 社長力で述べた通り、少しでも自分や会社を良くしようと、「一%良くなった状態」で三六五日過ごしたとします。すると、一日に一%良くなりますから、その一%を三六五乗すると三七・七八三四三四三⋯⋯になるのです。つまり約三八倍の成長を果たすことになります。成功するには、良くなろうと実践し努力することが大事だと、数字に置き換えて、その重要性を訴えたものです。
 具体的に言えば、社長は「即断即決する力」が求められます。一日一%の努力で判断力は身につきますが、瞬眠さや優柔不断、安易さがリスクを招き、大きな窮地に立たされます。松下幸之助翁の言葉にある「窮地は常にある」とは、今回の新型コロナウイルスのようなものです。しかし、努力不足や怠けた末に身につけた安易な考えは、自らがつくり出した窮地です。
 小さなミスの放任が致命傷になる
 小いさな怠け心やミスが大きくなれば、塵も積もれば山となり、大きな事故や不祥事を引き起こします。小さなミスは小さなうちに芽を摘んでおかなければ、大事件になります。いかに常日頃からの教育と、本人の学習能力が重要かを強く感じます。
 ミスを隠したり、虚偽の報告をしたりすることは、幹部のマネジメントの大きなミスといえます。幹部が小さなミスに対して放任していると、社長が一%良くなった状態をつくろうとしても、幹部が九九%にしてしまう結果になります。
 そのわずか一%のマイナスを三六五乗すると、成果は約二・五五%しか生まれてきません。そのため、会社は致命的な窮地に立たされるのです。
 社長力とは、そういうことが組織内で起きないように発揮するリーダーシップのことです。会社全体をより良くするために、まず「戦略的意思決定」をより正しく、素早く
する力のことです。
 しかし、社長がいくら三八倍の効果をつくろうとして明確な意思決定をしても、管理責任を全うする幹部の皆さんによるミドルマネジメントとしての「管理的意思決定」が遅れれば、その損失は甚犬になります。企業は管理力が日々試されています。事業成功の要諦はスピード・正確性・実行性・正直性にあります。

本記事は、月刊『理念と経営』2021年7月号「企業の成功法則 社長力・管理力・現場力 三位一体論」から抜粋したものです。

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