企業の成功法則 社長力・管理力・現場力 三位一体論

日本に残された唯一の道は 「企業が強くなる」以外にない

デービッド・アトキンソン氏の主張は、いつの間にか「緩くなった日本」への警告です。ドラッカー博士はいち早く、企業規模の大小に関係なく、社長には大きな責任が与えられているが、中小企業はそれを支える機能別のスキルを持った管理者の存在に恵まれていない、と述べています。

島国特有の問題意識の欠如を反省すべき

  経営幹部の皆さん、中小企業の低生産性問題で、アトキンソン氏は非常にわかりやすく「日本病」を捉えています。中小企業にも業績の良い立派な会社があります。つまり、彼が言うように、日本に残された唯一の道は「企業が強くなる」以外にないのです。
私が考える、うまくいっている会社の共通項は、①社長や経営幹部の向上心が高い、②真剣に経営に取り組み独自のビジネスモデルを持つ、③財務知識に強くマーケティング感覚が鋭い、④自社の問題の解決に真剣に取り組む、⑤コア・コンピタンス経営をしている、⑥経済と経営は違うと割り切り自助努力している、⑦生産性向上に努めていることです。
アトキンソン氏の生まれはイギリスですが、この国は長い間「英国病」を抱えていました。生産性が低く、事例で述べると、一時期葬儀場では、遺体の焼き場の石油が欠乏し、多くが放置されていたそうです。世界を支配した国家でさえ、こうした国勢の衰えを招いているのです。
当時のサッチャー首相が大鉈を振るいますが、効果が出るまで時間がかかりました。①経済成長の停滞、②技術開発の遅れ、③産業の保護政策、③高い失業率、④賃金の高騰、⑤税収減少、⑥国債の累積残高の増加など、現在の日本と似たような問題が続出していたのです。賃金の高騰でも英国病は克
服できなかったのです。
アトキンソン氏が言うように、「日本企業は『成長』しなければならない」「先入観を捨て客観的に分析すれば、日本企業は強くなれる」のです。今までの日本は、こうした赤裸々な主張は敵対視される傾向が強く、日本の内向きで島国特有の問題意識の欠如は、大いに反省すべきです。

資源は「人」であり知識は道具に過ぎない

 私なりにアトキンソン氏には反論もあります。GロP(国内総生産)に占める人財の能力開発費を日米で比較すると、社長力で述べた通り、日本は米国の二〇分の一という惨憺たる状況です。一つには、中小企業の経営幹部の「自分の能力開発への無関心」です。これが生産性を低くしているのです。知識は道具です。自社やお客様の課題や問題を解決する道具にしか過ぎないのです。それらを無視した結果、生産性の低下要因の一つになっているのです。経営幹部が社長に具体的にビジネスモデルを提案し、イノベーションを起こして、生産性の高い企業にするのが管理力です。
 アトキンソン氏は、業績を上げている立派な中小企業と、ボトムの中小企業の平均値だけで論じるのは乱暴だと思います。金融マンの調査で済む問題ではないのです。
 日本の中小企業数は年平均二%減少し、過去一〇年で一八%も減っています。つまり、企業の大小だけの問題ではなく、市場経済では価値を生みだせないと自然淘汰されるのです。少し古いデータですが、二〇〇九
年に米中小企業庁(SBA)が行った統計では、米国の中小企業数は年平均三%増加しています。この統計を見ると、米国の中小企業は、雇用や企業売上高や輸出額など、米国経済にも貢献している、と明記されています。

本記事は、月刊『理念と経営』2021年4月号「企業の成功法則 社長力・管理力・現場力 三位一体論」から抜粋したものです。

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