企業の成功法則 社長力・管理力・現場力 三位一体論

経営革新のコツは 「自社の強みを知る」ことである

日本は大きな曲がり角に来ています。自分さえよければいい、今さえよければいい、お金さえあればいいといった、利己主義のような人が増えています。日本企業はその源流を忘れ、我田弘水の驕りで独自性を失っています。

独自性は何かを考えて経営に参画しているか

  渋沢栄一翁は、従兄にあたる尾高惇忠から『論語』を学んだ向学心の強い人でした。ところが、師である惇忠は水戸学派であり、開港政策をとる徳川幕府に不満を抱いて、これを倒すべく攘夷論を唱えました。一時、渋沢栄一翁も討幕を志します。
 その後、渋沢栄一翁は、時代の先端を歩み続けました。きっかけは、不思議にも徳川慶喜公との縁により、その弟の若い昭武ハパリ万国博覧会への随行から始まるのです。
 経営幹部も、世界の動向や市場動向を見ることが大切です。今日のような時代にはそれなりの見識を持つべきで、世事に聴い人間になっては空理空論を語るようになり、情報音痴で問題意識が欠如した視野の狭い人間になってしまいます。
 幹部は、いち早く渋沢栄一翁のように、自修自得の精神を持って自ら学ぶ姿勢を持たなければ、今日の変化の時代には「潰しの利かない」人間になってしまいます。渋沢栄一翁のお孫さんである鮫島純子先生は、「祖父はあまり欲のない人で、自分の利益よりも、公に尽くして国を豊かにすることを喜んでいたようですね」と、述べておられます。
 つまり、幹部は経営参画を本気になって考えなければいけません。自分の強みである独自性を発揮し、それを磨いて参画する主体性が求められます。そして、参画の決意ができたら、「自分さえよければいい」「今さ
えよければいい」といった利己的な自分は捨てるべきです。

苦境に勝つカギは無限にある

  松下電送の木野親之元社長は、松下幸之助翁についてこのように述べております。「多くの企業は現在、苦境の時代を迎えています。幸之助は私が苦境に立つと、事前に情報を取るのでしょう。『木野君、苦境に勝つカギはなんぼでもある。なんやと思う』と呼び出して聞くのです。何かあると直ぐに質問されて困りました。考えてみましたが思い当たりません。『ええか、自分で自分に限界をつくるから何も解決せんのや』。つまり、固定観念を捨てて素直にものごとにあたれと諭されたのです」(木野親之『松下幸之助に学ぶ指導者の三六五日』コスモ教育出版)
 「苦境に勝つカギはなんぼでもある」とは、幸之助翁らしいお言葉です。今日の大きな変化に皆さんは真剣に取り組んでおられると思います。この変化を乗り切るためには、絶えず経営革新をしなければなりません。
松下幸之助翁も渋沢栄一翁も、「日に新た」な気持ちで経営したから成功したのです。
 経営革新のコツは「自社の強みを知る」ことです。不思議と自社の強みは、社長や経営幹部の強みにも通じ、それをいかんなく発揮している現場の人が多いのです。
 私は「グリット・カンパニー」というテーマでいろいろな企業をリサーチしています。共通項は人が育ち、商品やサービス、技術に優れていることです。どんな苦境に遭っても企業の永続の条件が整っている企業群で
す。その代表企業は、弊誌の巻頭対談(2020年2月号)にもご登場いただきました、古森重隆代表取締役会長・CEOの富士フイルムホールディングス、創業から五〇〇年以上続く羊羹の虎屋です。ほかにも奇跡のような革新を遂げた企業がたくさんあります。渋沢栄一翁が関わった企業の多くが永続しています。苦境に勝つカギを無限に活用し、乗り越えてきたのです。

本記事は、月刊『理念と経営』2021年3月号「企業の成功法則 社長力・管理力・現場力 三位一体論」から抜粋したものです。

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