企業の成功法則 社長力・管理力・現場力 三位一体論

一日を何となく終わらせてはいけない

二O二一(令和3)年こそ、①体験(エクスペリエンス)を通して、②気づき(アウェアネスに至る道のり)を大切にし、③ラーニング(足らざるを学習)して、④プラクティス(実践・行動)し、プロセスを大事にしながら、一日を⑤リフレクション(素直な振り返り)し、⑥ベリフィケーション(検証)する習慣が大事です。

経営幹部の新しい年の決意を示す

  二〇二〇(令和2)年は経営幹部の皆さんも大変だったことでしょう。阪神・淡路大震災のときには私の店も大きな打撃を受け、八店舗が駄目になり、繁華街の店はパタッとお客様が途絶えました。それにもめげず必死に食料を被災地まで運ぶ社員さんを、きちんと指揮する幹部の姿に、いざとなったら人間は適切な判断をして力を発揮するのだと、深い感動を覚えたことを思い出します。
東日本大震災では、埼玉から仙台までさまざまな物資を運ぶ決断をした物流会社、関根エンタープライズグループと、危険を省みずにその物資を大型車で運ぶ同社の経営幹部には、今でも頭が下がる思いです。物資の支援や、ガソリン支援や、資金支援をメールで呼びかけさせていただきました。福島原発の危険をものともせず、ハンドルを離さずに走り続けた幹部の小山剛課長の勇気、人間の崇高さに多くを教えられました。
人間は本来誰もが偉大なのであり、いざというときには己を省みずに人様のために戦える存在なのです。

相談しては叱られ考える力を身につけた

   新型コロナウイルスで不安を募らせる人も多く、経済的にもダメージの多い中、日夜、社長や経営幹部は打開策を練っておられることでしょう。
「人の上に立てば立つほど迷いが生じてきます。私は幸之助によく相談に行きました。ところが、自分の指導者としての一念を明確に持たないまま行くと、『君はそれでも指導者か』と、その場で叱られたものです。いかなる困難であってもそれに対して進むべき時、必ず自分なりの考え方を持って事にあたることです。そうすることで必ず道は開けます」(木野親之『松下幸之助に学ぶ指導者の三六五日』コスモ教育出版)
非常に含蓄のある言葉であり、経営幹部が注意しなければいけないものです。こういう時代は、まずは自分の考えをしっかり持つことです。そのために常日頃からさまざまなことにトライして、自分の強みや弱みを把握していなければなりません。松下幸之助翁は「経験は誰もができる。だが体験は違う。自分の心や体全身で事にあたり、時には痛い目に遭って失敗もするが、そこから体験した自分にしかわからない物事の真理を掴むことができる」と、木野親之氏に言われていたそうです。
私はこの言葉に非常に感動しました。英語では「エクスペリエンス」は体験とも経験とも訳されています。私は三四年間「体験学習」という概念で、気づき(アウェアネスに至る道のり)や、気づいた自己をさらにどう磨くべきか、ラーニング(足らざるを学習)からプラクティス(実践・行動)までのプロセスを講じて、具体的な体験学習を通し人間としての成長や企業経営の在り方を問うてきました。

本記事は、月刊『理念と経営』2021年1月号「企業の成功法則 社長力・管理力・現場力 三位一体論」から抜粋したものです。

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