企業の成功法則 社長力・管理力・現場力 三位一体論

“社会”のために働くエリートを育てよう

仕事が楽しくないとしたら、原因は自分自身にある場合があります。多くは不安や将来への恐れです。管理力とは、部下の不安や恐れを、向上心や自己成長意欲にうまく転化させる力のことです。仕事の習熟度を上げる機会です。

仕事の「有意義性」がやる気を高める

 幹部の力量が問われる時代になりました。部下の多くに、夢や希望がない、夢や希望を持てない、といった自己喪失現象が生まれています。内閣府の調査によれば、アメリカの100人中おおよそ95人が希望を持っているのに対し、日本は約52人しか持っていません。
 理由の一つは、日本人が豊かになったからでしょう。豊かさの代償として、自分の存在価値を見失い、自ら命を絶つ人もいます。特に若い人が徐々に増えているようです。 
 数年前、長時間の過重労働が原因だとして、電通の新入社員が自殺しました。母親の悲しみは計り知れません。しかし、長時間労働というだけで、自らの命を断ったとは思えません。今の若者が単に待遇や好条件のみを求めているのではない、と思います。
 私はセルフ・プロデュースのための一日セミナーを開いて、自分の生きがいや働きがい、誰のために学び生きていくのか、といったことをテーマに、実習を交えながら講義を行っています。
 そのセミナーでは「For You(自分のため)」という起点から、その輪がどのように家族や、職場や、お客様や、会社や、社会に影響を与えているかに気づいてもらい、その上で人間社会の構造要素と希望やビジョンを明確にしています。
 第一に、人は仕事の「有意義性」にモチベーションを高めます。ノーベル化学賞受賞の吉野彰さんは、相当の研究時間を割いて偉業を成したのです。管理力とは、自社の仕事の有意義性を感じさせる力です。吉野さんにも不安や「完成できないのでは・・・」という恐れが強烈だった時期もあるはずです。でも、この仕事は意義があるという一点で耐え抜かれたのです。

共感されなければ協働の自発性は生まれない

 第二に、有意義性がわかっても、明確な仕事の目的やミッションが曖昧では、モチベーションは高まりません。自社が目指しているものに、強い共感を持てるかどうかです。理念・使命・目的・目標を、部下が府に落ちるまで伝え、部下があ理解できない部分を聴き取る力が管理力です。うまくいっていない職場の共通項は、幹部がその力を持てなくなっているのです。
 アメリカの経営学者、C・I・バーナードも、「共感されなければ『協働の自発性』は生まれない」と、明確に述べています。もちろん、本人の認知能力にも、日本の教育に課題があります。親の教える力が弱くなり、両親、祖父母、学校の先生などが力を合わせて子どものアイデンティティーの確立を補完しているのです。
 その結果、わが子の問題を学校の責任にし、職場や上司の責任にする親が増えているのも事実です。多くが可能思考能力の欠如に陥っています。
 第三は、社長や上司の人間的な魅力です。以前の教育には「人間的魅力の研究」がありました。故伊與田覺先生は、『「人に長たる者」の人間学』という著作を、小誌発行のコスモ教育出版から出されていますが、人間魅力は、政界、官界、実業界からも失われています。昨年11月の国会討論を見て、質問側の野党もスキャンダルばかりで、それに答える総理や大臣の言葉も空疎でした。
 第四は、本人の成長意欲や貢献意欲、達成意欲、結果としての「承認欲求」です。私は長く「ありがとう経営」を推進しています。上司からの「ありがとう」の一言で、すべてが救われる場合があるのです。ここにもモチベーションが上がらない要因があります。

本記事は、月刊『理念と経営』2020年3月号「企業の成功法則 社長力・管理力・現場力 三位一体論」から抜粋したものです。

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