企業の成功法則 社長力・管理力・現場力 三位一体論

温室の花になるな、オーナーシップを持って臨め

富士フィルムの古森重隆前CEOは、「伸び続ける人」と「停滞する人」の差は謙虚さと素直さと学ぶ姿勢にあると述べられています。「自分のため」ではなく、「会社のため」に仕事をするという、経営幹部のオーナーシップの有無を説いているのです。

事実に気づいて具体的に進言する

グローバルな時代に必要な管理力とは、飛び交う情報を確実に見分ける基盤力です。「ハーバード・ピジネス・レビュー」やスタンフォード大学大学院も、これからはあらゆる職種の人にとって、「セルフ・アウェアネス」が不可欠な時代だ、と指摘しています。気づきと企業業績の関係などのデータ分析も盛んに行われています。セルフ・アウェアネスは「自己への気づき」と訳されます。第三者からどのように評価されているかも含め、正しい自己認知能力を意味します。私は三五年ほど前から「可能思考メソッド」という手法や方法を取っていますが、ワークショップを担当する者として、自己を正しく認知できているかは甚だ疑問です。しかし、それを承知で述べますと、同じワークショップの参加者でも、自己にとって都合が良い気づき方をする人が意外にいます。業績の悪い組織に共通する原因は、気づきの浅さにあると言う方もいます。つまり、管理力とは「正しい気づき」の能力のことです。自社の問題にいち早く気づき、その解決案を模索し、社長に具体的に進言する力のことを管理力といいます。日本企業の強みは「ミドルアップ・ミドルダウン」システムだといわれています。幹部が経営戦略を徹底して練り上げ、上に提案する仕組みです。それをトップマネジメントが意思決定し、意思決定された戦略案をミドルマネジメントが、下に対してきちんと浸透させるシステムです。

管理力に不可欠な「オーナーシップ」

富士フィルムの古森氏の最大の強みは「オーナーシップ」だと思います。哲学者の配的機多郎先生は「気づきとは反省と直観だ」と述べておられます。会社や上司、環境、人への責任転嫁ではなく、「これは自分の問題だ」という素直で純粋無垢な反省を含んだ直観という意味です。
正しい気づきとは、バイアスや私応のない状態からしか生まれてきません。古森氏は、他の既存の価値に縛られるのではなく、自分のうちに自らの信じる価値を確立することを実践しておられます。気づきとは「本来の自己」に目覚める力のことです。人間には誰もが自分にしかない優れたもが与えられているのです。幹部の気づきとは①自分の任務の自覚、②責任と権限、③部下育成、そして何よりも④自己鍛錬です。これらを基礎として各自の業務を全うすべきです。全うする中から使命感は生まれてきます古森氏は若いときから自己鍛錬を怠らなかった人です。人間の根本とな(基盤力)を養うために、「誠実に向き合う力」「考える力」「実行する力」の涵養に励んだのです。「何事からも謙虚に学ぶ」「努力は人を裏切らない」という信念の人です。

本記事は、月刊『理念と経営』「企業の成功法則 社長力・管理力・現場力 三位一体論」から抜粋したものです。

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