企業の成功法則 社長力・管理力・現場力 三位一体論

日本はなぜ、「欲ない・夢ない・やる気ない」国になってしまったのか

イタリアのベネチアの港では、6歳の子どもが小さなヨットで訓練しています。誰も支援しません。子どもの頃から自力の大切さを植えつけているのです。日本人は新しい時代に何を学ぶべきなのか、問わなければなりません。

利益が出るはずのないJR3社の悪条件

東日本、東海、西日本の本州のJRは皆、多くの利益を出しています。JR東日本は東京という世界一の大都市圏を市場として与えられ、国鉄からJRに変わって、1993(平成5)年に上場しています。

同じく、京阪神を有するJR西日本はその三年後に、そして、中京地区があるJR東海は順調に業績を伸ばし、その翌年に東証一部に上場しています。2006(同18)年までには3社とも国が持つ株式をすべて売却して、完全民営化しています。当然、国鉄時代と異なり、努力はされているはずです。この三社は国鉄時代の膨大な長期債務が割り当てられていました。

JR北海道、JR四国、JR九州の三社の債務は免除されましたが、実は、国鉄時代からの多くの赤字路線を引き継ぐことになったのです。どちら側の条件が良いかは察しがつくはずです。当然、JR九州も赤字を引き受けたわけです。国は3社に対して経営安定基金という法律をつくりました。分割時に、JR九州は3877億円を基金として交付され、それを運用しその利益で毎年の赤字を補填する仕組みになっていたのです。

しかし、3社とも最初から単体の黒字化は無理だと思われていました。国鉄時代から条件が悪く、大きな赤字は3社がつくっていたのです。

JR九州発足と時を同じくするように、鉄道収入を押し下げる悪条件が次々に襲います。①高速道路ができて自家用車で移動する人が増えた。②自家用車や高速バスとの競争が激しくなった。③人口減少のスピードが全国平均より速く進んだ。④自然災害が多発した。⑤台風時は接近だけでも運行を見合わせた。⑥災害の度に線路が傷み長期間の運行中止を余儀なくされた。⑦復旧に追われて損失がかさんだ。まさに、逆境を抱えて、傷だらけのスタートでしたが、唐池会長はじめ、全員が本気になり、成功させるのです。

日本人は、新しい時代に何を学ぶべきなのか

日本には、歴史的にもヒトラーやスターリンなどの独裁者はいません。ヒトラーはナチス収容所で大虐殺を行い、スターリンは粛清に次ぐ粛清を断行しました。中国でも文化大革命で毛沢東主席は多くの犠牲者を出しているといわれます。そういう悪質な政治家もいない日本の国を、私は誇りに思っています。しかし、未来に対して漠然と不安を持つのは、全体が「受動的」になっているからです。いろいろな制度を政府はつくっていますが、あまりにも「欲ない・夢ない・やる気ない」国になっているのは、制度の形骸化や安易な教育によって、自主・自律の精神を失っているからです。厳しい言い方をすれば、あまりにも「おんぶにだっこ」の風潮が多くなっているのです。

本記事は、月刊『理念と経営』2019年5月号「企業の成功法則 社長力・管理力・現場力 三位一体論」から抜粋したものです。

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