企業の成功法則 社長力・管理力・現場力 三位一体論
管理力
2018年7月号
お客様のお困り事に心から共感できなければ、新商品は生まれない

それぞれが一生懸命に生きているのです。ビジネスの根幹は世の中に対する共感であり、部下育成の基本は部下に対する共感です。人間の潜在能力を真に知らなければ、愛は生まれません。
なぜ「デザイン思考」という科目が注目を集めるのか
ビジネスで一番大事なものがsympathy(共感)でありempathy(感情移入)です。
数年前からスタンフォード大学では「デザイン思考」(ユーザーの本質的なニーズを見つけ、イノベーションを起こすプロセス)という科目が注目を集めています。
私もスタンフォード大学APARC(アジア太平洋研究センター)のダニエル・オキモト教室で学びましたが、最初にくるのがこの「共感」です。
物が不足していた時代には、物の充足が企業経営の最大課題でした。しかし、豊かな社会になった現在、企業経営者や経営幹部の役割も大いに変化しました。
デザイン思考が最も大切にしているものがsympathyでありempathyなのです。
つまり、社会の解決しなければいけない課題や、自社を支援してくださるお客様のお困り事に心から共感できなければ、新しいビジネスモデルも新商品の開発も生まれてきません。共感できれば、自然に問題解決の知恵が生まれてきます。
よく「当事者意識」といわれます。社長力・管理力・現場力の三位一体経営には欠かせないものですが、「人は人、自分は自分」という意識では、当事者意識は生まれてきません。
経営幹部が「会社は会社、自分は自分」と考えた瞬間、会社が抱える問題に無関心の壁ができてしまいます。
つまり、激変の時代にあって「全員経営」が求められる今、全員の当事者意識を育み、組織の統合化を図るものが共感なのです。
問題の共有を阻む壁は無関心が生み出します。無関心の壁は無責任の壁を生み出し、企業成長の妨げとなり、組織は短命に終わります。
会社でいえば、上司は部下の担任教師です
ピーター・ドラッカーは、企業とは「社会に存在する問題を解決する一機関」と定義しています。
優れた企業とそうでない企業の違いは、社会や人間に対する関心の差なのです。
うまくいっている企業には決まって、お客様や部下の育成に強い関心を持つ上司がいて、一つひとつ、こまやかな気遣いをしています。
本記事は、月刊『理念と経営』2018年7月号「企業の成功法則 社長力・管理力・現場力 三位一体論」から抜粋したものです。
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