企業の成功法則 社長力・管理力・現場力 三位一体論

ハイ・パフォーマンスを生み出し続けたイチロー

部下のモチベーションが高まらないのは、幹部の目標実現アンバサダーとしての技量不足かもしれません。ハイ・パフォーマンス型なのか、スモールステップ型なのか、あなたの管理力次第で、部下は必ずやる気になります。

厳しいが、面倒見がいい横浜隼人高校の監督

 長い間多くの経営幹部を見ていると、伸びる人と、結果を残せないまま伸びない人の二つに分かれます。目標実現アンバサダーの役割は、チームの目標を実現するために可能な限りの知恵を出し、チームの面倒を見ることです。部下は上司を厳しい目線で見つめています。
 社長力でも言及した目標実現アンバサダー大会で痛感するのは、いまの働く人々の目標に対する熱意です。内閣府の国民生活に関する世論調査で表れた、 「現在の生活に満足している―七四・七㌫」という数字 が信じられないほど、まだまだ若者たちの健全な上昇志向が存在します。
 悪い側面ばかりを報道するマスコミや、安易な上司も「いまの若者は云々……」という言葉を使います。可能思考教育の目標実現研修を行っていると、当初は白けていた人でも、いざ自分が設定した目標に立ち向かうときのコミットメントは真剣そのものです。
 テレビで、大谷翔平選手の出身校である花巻東高校と横浜隼人高校の、 二人の監督のドキュメントを見て、 非常に考えさせられました。 ノックをしたり他の激しい練習をした後、 横浜隼人の監督は休憩時間に、選手の学習ノートに目を通して、 いろいろな質問をしたり、 それに答えたりして指導していました。 厳しいのですが面倒見がいいのです。
 管理力とは、面倒見のよさです。横浜隼人高校の監督は、選手たちを最高に磨 みが き上げ、甲子園球場に出場させようという強い目標を持って、任務を果たしていました。その熱意こそが管理力であり、目標実現アンバサダーを育てる重要な条件です。

数多く成功体験を積ませ、自信がつくように導く

 企業の幹部は、一人ひとりのモチベーションを上げて成長させ、達成体験の喜びを味わわせる使命があります。そのためには、①部下の成長意欲と自主性を引き出すスキル、②目標に対するコミットメントを高める人間性、③目標の意味合いと達成方法を指導する力が、目標実現アンバサダーとして不可欠です。
 加えて、④部下に沿ったモチベーションの高め方、⑤この部下はスモールステップ型かそれともハイ・パフォーマンス型なのかの見極め方、そうしたことの学びが要ります。
 スモールステップ型は、ハイ・パフォーマンス型と違って、目標の与え方も考慮しなければいけません。入社したばかりの慣れない人に、高い目標を与えてもうまくいきません。目標は本人が決めるとしても、達成に至るプロセスは異なります。目標を細分化して、小さく数多く成功体験を積ませて、自信がつくように導くことが大事です。
 社長はトップマネジメントとして、単年度、あるいは、三カ年など、大きな目標を設定する役割をしますが、幹部は、その目標を部門ごとに下ろし、部署ごとに分け、 個人別にして、責任の所在と権限の委譲も明確にしてあげなければいけません。
 管理力とは、「これやって……」で済むものではなく、横浜隼人高校野球部の監督のように、選手一人ひとりの長所や短所、強みや弱みを知ることも重要な任務です。その上で部下を達成体験に導くまでの過程が、幹部の目標実現アンバサダーとしての大きな役割になります。

本記事は、月刊『理念と経営』2019年8月号「企業の成功法則 社長力・管理力・現場力 三位一体論」から抜粋したものです。

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