【用語】4月号(4)

【用語】4月号(4)


●適正利潤(4月号45ページ)

 一般的に、経済学の教科書には、
 企業は利潤の最大化を追求するとあります。
 (=利潤最大化行動)

 「利潤=売上-費用」ですので、
 利潤最大化のためには、

   1.売上を最大化する
   2.費用を最小化する、

 の2つを追求することになります。

 1.の売上を最大化するためには、
  ①価格を引き上げる
  ②販売量を最大化する、が必要です。

 2.の費用を最小限にするためには、
  ①仕入(製造)の原価を引き下げる
  ②経費(人件費など)を最小化する、
 が必要です。

 しかし、
 企業事例研究2の中庭住宅様は、
 「縁を大切にする」という哲学に基づき、
 年間100棟が適正であると考えているのです。
 
 つまり、1-②の販売量の最大化を
 意図的に行っていないのです。

 また、
 お客様の不安を取り除くために、
 標準仕様の展示を行うことで、
 1-①の販売価格の引き上げをしていません。

 企業事例研究1の芝寿し様も、
 「店はお客様のためにある」という理念に基づき、
 1-①の「販売価格の引き上げ」と、
 2-①の「仕入(製造)原価の引き下げ」を
 行っていません。
 (4月号20~21ページ参照)

 しかも、2社ともキチンと利益を上げています。

 このように、健全な理念に基づき、
 顧客・取引先・社員さんなどの
 全ステイクホルダーに貢献する経営を行いつつ、
 計上する利益が「適正利潤」と言えます。

 ピーター・ドラッカー氏は、
 利益について次のように述べていますので、
 ご参考までに。

—「現代の経営(ダイヤモンド社)」より引用—–

 企業にとって第一の責任は、存続する事である。
 
 換言するならば、
 企業経済学の指導原理は
 利益の最大化ではない。
 
 それは、損失の回避である。

 したがって企業は、
 事業に不可避的に伴うリスクに備えるために、
 余剰分を生み出さなければならない。
 
 リスクに対する
 この余剰分の源泉は一つしかない。

 利益である。

 (中略)

 利益の最大化が
 企業人の動機であるか否かは定かではない。
 
 これに対し、
 未来のリスクを賄うための利益、
 事業の存続を可能とし、
 富を創出する資源の能力を維持するための
 最低限度の利益をあげることは、
 企業にとって絶対の条件である。

 この「必要最小限の利益」が、
 事業の行動や意思決定を規定する。

 まさにそれは、事業にとっての枠であり、
 妥当性の基準である。

 マネジメントたる者は、
 その事業のマネジメントにおいて、
 少なくともこの必要最小限の利益に関して
 目標を設定するとともに、
 その目標に照らして利益を評価するための
 尺度をもつ必要がある。

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